アマチュア無線の資格を持ち国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の宇宙飛行士と、子どもたちが交信を行うプロジェクト「ARISSスクールコンタクト」。2021年8月11日(水)の17時05分JSTからボーイスカウト小野第1団(兵庫県小野市)の小中学生メンバー14名が「8J3ONO」のコールサインで交信を行う予定だ。成功した場合は日本から通算103例目のARISSスクールコンタクトとなる。なお同局は日本初の「臨時ARISS局+臨時体験局」の二重免許となっている。ISSから登場するのはNASA所属のロバート・S・キンブロー宇宙飛行士(KE5HOD)だ。
ISSの宇宙飛行士と日本の子供たちの交信は、先週8月3日(火)に行われた京都府のノートルダム女学院中学高等学校(8N3ND)以来となる。なお8N3NDは8月3日の交信が不調に終わったことから、アマチュア無線の免許を取得した高校生3名を新たに加え、9月13日の週に再挑戦が計画されているという。
今回ARISSスクールコンタクトを実施するボーイスカウト小野第1団(日本ボーイスカウト兵庫連盟はりま地区所属)は2020年に発団40周年を迎えた歴史ある組織だ。質問を行うのは同団の小中学生メンバーのうち14名で、実施には各地のスカウト関係者やJARLやJAMSATの関係者がサポートスタッフとして加わり、小野市教育委員会などの後援を受けている。
特筆点としては運用する「8J3ONO」が、ISSとスクールコンタクトを行う“臨時ARISS局”と“臨時体験局”の二重免許を受けていることで、これは日本のARISSスクールコンタクト史上初となる。また運用は小野市内の野外で行う予定で、“野外からのスクールコンタクト”も過去に数例しかないという。
今回の交信は日本時間の8月11日(水)17時05分06秒からおよそ10分間にわたって行われる。国際宇宙ステーションのコールサインは「NA1SS」。ARISS のWebサイトによると、ISSからは145.80MHzで音声信号が送られてくる。ISS側の交信担当はNASA所属のロバート・S・キンブロー宇宙飛行士(KE5HOD)で、交信は英語で行われるという。子供たち14名からの質問は次のように事前公表されている(arissnews.rtfより)。兵庫県小野市の特産である「そろばん」と「ひまわり」に関連した質問を入れているのがポイントだ。
1. Do you feel any stress during your long stay on the ISS?
(ISSに⻑期滞在するとストレスは感じないのですか?)
2. Can you see the aurora from space?
(宇宙からオーロラは⾒えますか?)
3. Did you find aliens?
(宇宙人はいましたか?)
4. Please tell us the most fun thing in space.
(宇宙にいて一番楽しいことを教えてください)
5. How do you sleep on the ISS?
(ISSではどうやって眠るのですか?)
6. Is there any physical change in space?
(宇宙では身体の変化はあるのですか?)
7. What do you do with the garbage on the ISS?
(ISSでは宇宙食などのゴミをどうしますか?)
8. What happens if the spacesuit gets torn?
(宇宙服が破れたらどうするのですか?)
9. What happens when you use an abacus in zero gravity?
(無重⼒でそろばんを使うとどうなりますか?)
10. Why did you become an astronaut?
(宇宙⾶⾏⼠を目指したきっかけを教えてください)
11. Is there any water outside space craft?
(宇宙空間に水はありますか?)
12. What devices do you have around you?
(あなたの周りにはどんな役割の装置がありますか?)
13. Do sunflowers bloom in the ISS, when day and night switch every 45 minutes?
(45分ごとに昼と夜が入れ替わるISSの中で、ひまわりの花は咲きますか?)
14. What do you do when there is a problem with the ISS?
(ISSに異常があった時は、どうしますか?)
過去、NA1SSから発射された宇宙飛行士の声に対しては「見晴らしのよい場所で、ハンディ機に付属ホイップアンテナでも聞こえた」「アパートのベランダから斜めに付き出したモービルホイップでキャッチした」といった受信リポートがTwitterに書き込まれている。ビームアンテナに仰角ローテーターといった本格装備がなくても、ISSの軌道が高く状態の良いタイミングなら、受信のチャンスはありそうだ。ぜひ挑戦してはいかがだろう。
なお、言うまでもないことだが、この日のために準備と交信の練習を重ねてきた子供たちの夢を壊さぬよう、静かなワッチを心掛けたい。ARISSスクールコンタクトの開催日は管轄の総合通信局がDEURAS、DEURAS-Mなどを使って電波監視を強化するのが通例となっている。
●関連リンク:
・ボーイスカウト 小野第1団(Facebookページ)
・Upcoming educational Contacts(ARISS.org)
・ARISSスクールコンタクト
・「きぼう」を見よう-国際宇宙ステーション(JAXA)
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