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<知床遊覧船のアマチュア無線機不正使用>北海道総合通信局の現地調査で判明したこと

北海道・知床で遭難した遊覧船「KAZUⅠ(カズワン)」を運営する有限会社知床遊覧船が、電波法で“仕事の連絡には使えない”と規定されているアマチュア無線を日常的に運航連絡用に不正使用していたとされる問題。新聞やテレビ各社の取材・報道により、同社が日常的にアマチュア無線を運航連絡に使っていた実態が徐々に明らかになってきた。総務省北海道総合通信局は2022年5月11日と12日の2日間、現地に山田誠哉 無線通信部長ら2名が訪れ、同社をはじめ斜里町内で観光船を運航している事業者、漁協など5か所に任意の聞き取りを行った。その結果判明したことを各メディアのニュースからまとめてみた(5月13日18時現在)。

 

 

有限会社知床遊覧船所属の観光船「KAZU I」(同社ホームページより)

 

STVは札幌市内の販売店で「業務機」と「アマチュア機」の違いを取材(YouTube)

 

 

 北海道総合通信局は5月11日と12日の2日間、山田無線通信部長ら2名の職員が斜里町を訪れ、有限会社知床遊覧船をはじめとする関係各所で任意の聞き取り調査(電波法に基づく立ち入り検査ではない)を行った。その結果、判明したことについて新聞やテレビなどの記事からまとめる。

 

★有限会社知床遊覧船に関して判明したこと

 

・12日に北海道総合通信局が同社を訪問し聞き取りを実施したが、桂田精一社長は不在で同社事務員(客の受付を担当)が対応した。(各紙)

 

・破損して発信や受信に支障が出ていた屋根上のアンテナはアマチュア無線用だったとみられることが判明。(日刊スポーツ 5月12日)

 

・昨年6月の国土交通省による特別監査で、船と会社事務所の通信手段をアマチュア無線から業務用無線に切り替えるよう指導を受けた後も、同社はアマ無線の使用を続けていた。同社の事務員は「KAZUⅠ」を含む同社運航の観光船2隻で少なくとも昨夏以降、通過地点ごとの定点連絡にアマチュア無線を使っていたことを認めた。(北海道新聞 5月13日)

 

・国に届けた安全管理規程には、船長と運航管理者らとの連絡手段は衛星電話、携帯電話、業務用無線の3種を挙げていた。しかし、社員は少なくとも昨年8月の入社時以降「船からの連絡には主にアマチュア無線を使っていたようだ」と話したという。(読売新聞オンライン 5月13日)

 

・「滝を通過したとか、ポイント通過の連絡に使われていた。違反の疑いがあることは確認できたが、話した人が社員で代表権がある人ではなかったので、社長から改めて報告を確認し、適正な処置を行う(山田無線通信部長)」(STVニュース北海道 5月12日)

 

・今回の調査にあたり北海道総合通信局は、同社の住所で個人が使用許可を取ったアマチュア無線機の記録を持参。利用実態を調べようとしたが、事務所にあった無線機は、記録にないものだった。「KAZU Ⅲ(カズスリー)」にあった2台の無線機のうち1台が記録と同じモデルということが確認できたのみ。誰が使用許可を得ているのか不明な無線機について、知床遊覧船の社員は「元社員のものではないか」と説明したが、無線の免許に関する資料も見当たらず、実態は分からなかったという。(読売新聞オンライン 5月13日)

 

無線の免許証が事務所内で見つからず、機器が誰のどのような免許に基づいて使われていたか確認できなかった。(共同通信社 5月12日)

 

・安全管理規程に連絡方法として記されている業務用無線設備は確認できなかった。山田無線通信部長は「今後の調査で違法な事実が確認できた場合、適正な措置を行っていきたい」としている。(NHKニュース 5月12日)

 

・調査後、山田無線通信部長は「今後、桂田社長や運航に携わった元社員から事情を聴いて実態解明を進める」と述べた。(北海道新聞 5月13日)

 

 

★その他の観光船業者に関して判明したこと

 

・斜里町内の他の大型・小型観光船業者4社にも聞き取りを実施。うち小型船の1社で無許可でアマ無線機器が設置されていたことが分かった。(北海道新聞 5月13日)

 

・4月23日の事故当日、「KAZUⅠ」からのアマチュア無線による救助要請に気づいてやりとりした別の観光船会社の事務所では無免許の状態で機器が設置されていた。免許の有効期限が切れていたという(日刊スポーツ 5月12日)

 

・同業者のうち1社では、アマチュア無線は同業者との日常会話に使っているものの業務は衛星電話などで行っていて違反はなかった。(HTB北海道ニュース 5月11日)

 

・「別の運航会社は船長同士の雑談や日常会話で無線を使っていた。運用の問題はなかったと受け止めている(山田無線通信部長)」(STV どさんこワイド179 5月12日)

 

 

 以上の報道から、今回の北海道総合通信局が行った聞き取り結果をまとめると、次のようになるだろう。

 

 有限会社知床遊覧船で免許されているはずの467MHz帯デジタル簡易無線機8台は発見できなかった模様。また同社事務所に1台、「KAZU Ⅲ」に2台のアマチュア無線機が現認できたが、無線局免許状の所在が確認できず、誰の無線機かもわからない状態だった。
 一方でそのアマチュア無線機を「日常の観光船の運航連絡に使っていた」という社員からの証言が得られた。

 

 事故当日、最後に「KAZUⅠ」とアマチュア無線で交信し海上保安庁に連絡した同業他社は、アマチュア無線局の免許の有効期間が切れていた。
 それ以外の同業者の船舶でも、アマチュア無線機の搭載が1件確認できたが「同業者の船長同士の雑談や日常会話に使っているもので、業務は衛星電話などで行っていたので違反はない」と判断した。

 

 知床遊覧船のアマチュア無線の業務使用に関連した報道は、北海道総合通信局の聞き取り調査後も相次いでいる。今後も桂田精一社長への聞き取りなど、さまざまな動きがあると思われる。

 

 

総務省 北海道総合通信局の組織図より抜粋。山田誠哉氏が部長を務める「無線通信部」はおもに無線局の許認可関係を扱うセクションで、不法無線局の監視・調査と電波監視は別セクションの「電波監理部」が行っている

 

 

 

こちらの記事も参考に↓
<ようやく新聞各紙が“不正使用”を報道>遭難事故を起こした知床遊覧船、「連絡手段として日常的にアマチュア無線を用いていたことが判明」と毎日新聞が報じる(2022年5月10日掲載)

 

<知床の観光船遭難事故>事実解明が待たれる「アマチュア無線で交信」の疑問点(2022年4月28日掲載)

 

 

 

●関連リンク:
・アマ無線20年前から「カズワン」使用…業務用では禁止、免許ない従業員が交信も(読売新聞オンライン)
・禁止のアマチュア無線常用認める カズワン運航会社 電波法違反の疑い(北海道新聞)
・アマ無線、船との定点連絡に使用(共同通信社)
・観光船沈没 運航会社から聞き取り アマチュア無線業務使用疑い(NHKニュース)
・【アマチュア無線】業務用との違いは?機材費や安定性も 知床遊覧船が日常業務に使用の疑い(STVニュース北海道)
・【知床観光船事故】船と事務所の定点連絡にアマ無線使っていた 電波法違反の業務使用常態化か(日刊スポーツ)
・アマチュア無線を使っていたと証言する社員、調査担当者「無線をよく分かっていなかったのでは」 (読売新聞オンライン)
・「アマ無線日常使用」調査…運航会社も聞き取りへ 同業者は「問題なし」 知床・観光船沈没を受け(HTB北海道ニュース)
・【調査】アマチュア無線を日常業務使用か 知床遊覧船に総務省の調査が入る 他社は運用問題なし(STVどさんこワイド179)
・総務省 北海道総合通信局 組織概要

 

 

 

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