【あけましておめでとうございます。2023年もhamlife.jpを宜しくお願い申し上げます】
2013年8月にスタートしたhamlife.jpは、アマチュア無線関連を中心に毎年1,300~1,500件の記事を掲載している。2022年は前年比7%増の1,391件の記事を掲載したが、その中で特に注目を集めたのはどんな記事だっただろうか!? 年末年始恒例のスペシャル企画として、2022年の掲載記事「年間アクセスランキング」ベスト30をお届けしよう。
2022年はアマチュア無線界にとって大きなニュースが相次いだ。2月23日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の懸念が高まると、ゼレンスキー大統領がウクライナ全土に非常事態宣言を発令、アマチュア無線機の使用が全面的に禁止される事態となった。2月24日に侵攻が始まると、国際コンテストからロシア局などを参加制限する動きや、QRZ.comでロシアやベラルーシ局のQTH検索が一時停止に。さらに複数国のアマチュア無線団体が緊急声明を発表する場面もあった。
このウクライナ情勢による原油取引価格の高騰、物流の混乱と原材料費の高騰、円安による電子部品や鉄鋼製品の価格上昇から、アマチュア無線機器やアンテナなどの値上げも相次いだ。
一方、新型コロナウィルスの感染者数は一時的に減少し、前年まで中止が相次いでいた各地のアマチュア無線イベントも再開の動きを見せるようになった。最大規模である東京のハムフェア(アマチュア無線フェスティバル)は3年ぶりに「ハムフェア2022」として開催され、2日間でのべ35,000人が入場、久しぶりのリアルイベントを楽しんだ。なお今年の「ハムフェア2023」は8月19~20日に東京ビッグサイト南3・4ホール(昨年と同じ会場)で開催される予定だ。
総務省は有識者を集めて2022年1月から「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線アドバイザリーボード」を開催。8月に出された提言を基に、アマチュア無線の大規模な制度改正を実施する方針を固め、11月16日に改正案を発表した。
内容は多岐に及ぶが、特に注目されるものとしては「無資格者のアマチュア無線体験は、免許人の責任と監督下で行える」「無線従事者免許とアマチュア局免許の同時申請手続を導入(国試合格から開局までの時間を短縮)」「技適証明等を受けた無線設備の取替・増設・撤去は届出で可能に」「送信機の外部入力端子に“特定附属装置”(パソコン、マイク、ファックス、ビデオカメラ、電鍵等)を接続する場合、工事設計書の記載は不要で手続きや検査も不要」「無線局免許申請書等にライトユーザー(50W以下)用として見やすく、わかりやすい特例様式を導入」「養成課程はeラーニングと対面式授業の組み合わせが可能に」「非常時や緊急時は他人の依頼による通報が行えることを明確化」「バンドプランの簡素合理化」「遠隔操作についての簡素合理化」などが挙げられる。
現在は11月17日から1か月間、この改正案に対して行われた「意見(パブリックコメント)募集」の結果公表を待っている状況だ。2023年はこれらの制度改正が実施される見込みで、アマチュア無線界にとって大変革の年になることだろう。
明るい話題としては、「JR3JJE」のコールサインを持つアマチュア無線家としても知られる、ヨットマンで海洋冒険家の堀江謙一さんが、ヨット「サントリーマーメイドⅢ号」でサンフランシスコ~日本(兵庫県西宮)間、約8,500kmを世界最高齢で単独無寄港の太平洋横断に成功。堀江さんは航海中の毎週末に21MHz帯SSBで運用、のべ270局と交信している。
またケンエレファントがJARLの協力で開発し、2022年10月に発売開始したカプセルトイ「モールス電鍵ミニチュアコレクション」は、縦ぶれ電鍵の特徴をよくつかんでミニチュア化し、実際に打鍵し音が出ることから、アマチュア無線家はもちろん一般にも人気となっている。モールス通信やアマチュア無線に興味を持つ人が増えるきっかけになることを念じたい。
アマチュア無線機の新製品の発表も多い年だった。発表順で紹介すると、「FTM-200Dシリーズ」「IC-S10」「IC-T10」「FT-710シリーズ」「NTS601」「IC-905」の6機種が2022年に登場、さらにアルインコの広帯域受信機「DJ-X100」もハムフェアで参考出品。このうちアイコムのIC-905は2023年春の発売開始を予定しているが、144/430/1200/2400/5600MHz帯とオプションで10GHz帯をカバーする、アマチュア無線界初のV/U/SHF帯トランシーバーで注目が集まっている。
悲しく、憤りを感じるニュースもあった。4月下旬に発生した「知床観光船」(26人乗り)の遭難事故では、沈没した観光船と事務所の業務連絡にアマチュア無線の不正使用が常態化していたことが過熱するマスコミ報道の中で判明。北海道総合通信局が現地調査に乗り出し、運営会社と代表取締役を電波法違反容疑で第一管区海上保安本部に告発し、電波法に基づく行政処分を行った。
寂しいところでは、長年アマチュア無線家に親しまれてきた「DJ-G7」「VR-160」「IC-R30」などが生産終了に。また4アマ・3アマの養成課程講習会を実施してきた北海道のNPO法人「ラジオ少年」がスタッフの高齢化に伴い2023年4月1日で事業縮小を決定。JARLが長年発売してきた「アマチュア局の各種申請用紙」の販売終了などが挙げられる。
では2022年の1年間、hamlife.jpに掲載された1,391件の記事から、特にアクセス数の多かった30本をランキング形式で紹介していこう。※タイトルをクリックすると該当記事にジャンプします。
★アクセスランキング 第1位~第10位
1)<アマチュア無線の活用機会拡大から免許手続の迅速化や制度の簡素合理化まで>総務省、電波法施行規則等の一部を改正する省令案等の制度改正案に対し12月16日まで意見公募
https://www.hamlife.jp/2022/11/16/hamradio-wireless-workforce-development-public
2)<ロシアアマチュア無線協会(SRR)から>ウクライナ情勢に関連して「ロシアのアマチュア無線組織を代表して訴えます」とメッセージ
https://www.hamlife.jp/2022/03/09/srr-message/
3)<ガルパン以来の快挙!?>人気アニメ「新幹線変形ロボ シンカリオンZ」最終回に“4アマの無線従事者免許証”が登場
https://www.hamlife.jp/2022/03/19/shinkalionz-hamradio-license/
4)<知床の観光船遭難事故>事実解明が待たれる「アマチュア無線で交信」の疑問点
https://www.hamlife.jp/2022/04/28/shiretoko-kankousen-jiko/
5)<電波新聞デジタルが報道>八重洲無線、HF/50MHz帯トランシーバー「FT-710シリーズ」を発表
https://www.hamlife.jp/2022/07/08/yaesu-ft710series-houdou/
6)<「アマチュア無線の呼出用周波数で無変調が出続けている」旨の申告で発覚>無線局の免許がないにもかかわらず運用していた無線従事者(3アマ、4アマ)に対し62日間の行政処分
https://www.hamlife.jp/2022/03/17/huhou-musenkyoku-torishimari-1073/
7)<「免許をもっていても電波法違反です」と明記>総務省、「アマチュア無線は仕事に使えません!」ページ開設&リーフレット作成
https://www.hamlife.jp/2022/02/08/soumu-cannot-use-for-work/
8)<JA局の減少スピードに驚き>各国のアマチュア無線局数、2000年から2022年までをアニメーション化した上位12地域の推移グラフが話題
https://www.hamlife.jp/2022/03/31/worldwide-hamradio-operators/
9)<知床遊覧船のアマチュア無線機不正使用>北海道総合通信局の現地調査で判明したこと
https://www.hamlife.jp/2022/05/13/shiretoko-kankousen-hokkaido-soutsu/
10)【ハムフェア2022】<FM方式のATVも可能、オプションで10GHz帯にも対応>アイコム、144/430/1200/2400/5600MHz帯のオールモード機「IC-905」を発表
https://www.hamlife.jp/2022/08/20/icom-ic905-release/
アクセスランキング 第11位~第30位は次ページに掲載!!
●いったん広告です: