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【写真リポート】<5月5日、こどもの日特別運用2023>初の体験運用も…、急きょ28MHz帯にQSYして子供たち10人全員が南極昭和基地「8J1RL」との交信に成功

毎年5月5日「こどもの日」恒例、南極昭和基地のJARL局「8J1RL」が、日本の18歳以下のアマチュア無線家と優先的に交信するイベント「こどもの日特別運用」が今年も行われた。東京都豊島区の一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)本部に公募で集まった小・中・高校生の10人(2アマ1人、3アマ4人、4アマ2人、無資格者3人)が、JARL中央局「JA1RL」の無線設備で約1万7,000km離れた「8J1RL」との交信に挑戦した。とくに今回、アマチュア無線の制度改正で“アマチュア無線の資格を持たない者の体験運用”の条件が大きく緩和されたことから、初めて無資格者による体験運用もあわせて行われた。※画像の一部はJARL提供

 

※パソコンでご覧の場合、小さい画像はクリックすると拡大します。

 

 

公募で集まった小・中・高校生10名(2アマ1人、3アマ4人、4アマ2人、無資格者3人)が、南極昭和基地のJARL局「8J1RL」との交信に挑戦した

JARL本部が入居するビルの屋上に設置されたJA1RLのアンテナ群。8J1RLとの交信は、マストの下部に取り付けられている南極に向けた7/14/21/28MHz帯八木アンテナが使用された

「こどもの日特別運用」を行ったJARL局、8J1RLが設置されている南極昭和基地(2019年5月5日撮影、写真提供:第60次日本南極地域観測隊、JARL)

 

 

 2023年5月5日(金・祝)、第64次日本南極地域観測隊による南極昭和基地のJARL局「8J1RL」と、日本国内の小・中・高校生を優先して交信する「こどもの日特別運用」が行われた。当日、東京都豊島区南大塚にある一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)本部には、公募で選ばれた小学5年生から高校1年生までの10人とその保護者が訪れ、JARL中央局「JA1RL」の無線設備で南極との交信に挑戦した。

 

 

JARL本部の入口で、こどもの日特別運用に集まった参加者の受け付けがスタッフにより行われていった

みなさんが集まったところで、JARL会長でJA1RL運用委員長の髙尾義則氏(JG1KTC)が開会のあいさつ

 

 

 会場には南極OB会アマチュア無線クラブのメンバー2人が駆けつけ、その1人、第63次南極地域観測隊員として今年3月に帰国したばかりの藤本 理さん(JP1JRU)が、南極の環境や生活などの様子を参加者に説明した。また、JA1RL運用委員会メンバーの新谷一徳さん(7K2GMJ)から南極と日本の電波伝搬や交信方法のレクチャーを行い、全員で「こちらはJA1RLです」と発声練習をして交信への期待を高めていった。

 

 

子供たちの南極昭和基地との交信をサポートするJA1RL運用委員メンバーの紹介が行われた

南極OB会アマチュア無線クラブのメンバーで、昨年まで第63次南極地域観測隊員として従事していた藤本 理さん(JP1JRU)が、南極の環境や生活などの様子を参加者に説明。子供たちからの質問で「凍ったバナナで釘は打てるんですか?」「食料はどのぐらい持って行くんですか?」などの質問が飛び出した

JA1RL運用委員会メンバーの新谷一徳さん(7K2GMJ)が南極と日本の電波伝搬や交信方法などレクチャー

参加者のみなさんは南極との交信の期待の中で真剣に話を聞いていた

2021年に交信した8J1RLのQSLカードが手元へ届くまで1年以上かかったと話す新谷さん

 

 

 一通りのレクチャーのあと、17時過ぎから運用スタッフが21MHz帯(21.245MHz)のSSBモードで8J1RLへの呼びかけを始めたが、時間経過とともにコンデイションの上昇は確認できるものの、まだ南極とのパスは開けていない。30分ほど呼び続けたがはっきりとした音声が確認できなかった。そのあと14MHz帯(14.245MHz)へ移って呼んだが、やはりノイズに埋もれて交信に至らない。

 

 会場内に諦めムードが漂うなか、最近はハイバンドのコンディションが上昇していることから、最後に28MHz帯(28.545MHz)でチャレンジすることになった。周波数を切り替えて8J1RLに呼びかたところ、フェージングの中から8J1RLの信号が聞こえてきた。思わぬ展開に、参加者一同から拍手が沸き起こった。しかし、コンディションが不安定な状態で、HF帯の伝搬特有の信号の浮き沈みが激しい。

 

 

17時すぎからJA1RL運用委員の井岡正樹さん(7N4SJX)が21MHz帯SSBで8J1RLの呼び出しを行った。バンドコンディションの上昇は確認できたものの8J1RLの信号は聞こえてこない。そこで、14MHz帯へ周波数を移動したが、それでもノイズに埋もれて聞こえない。交信を諦めかけていたところで、最近は28MHz帯のコンディションが上昇していることから、28MHz帯で8J1RLに呼びかけると、応答する信号がはっきり聞こえてきた

2019年5月5日の南極昭和基地。こどもの日を祝って「こいのぼり」が飾られている(写真提供:第60次南極地域観測隊、JARL)

 

 

 18時少し前に2アマの資格を持つ小学5年生が200W機(IC-7800)で交信をスタート。続けて3アマの4名が50W機(FT-991AM)で、さらに4アマの2名が10W機(FT-991AS)で、最後はJA1RL運用委員の井岡正樹さん(7N4SJX)のサポートを受けながら、無資格者3名が200W機でそれぞれ交信を行った。フェージングの中で時間はかかったが、10名全員が無事に南極との交信に成功した。関係者によると「こどもの日特別運用」で8J1RLとの28MHz帯での交信は初めてではないかとのことだった。

 

 交信内容は「RSリポートと自分の名前」の交換というスタイルで、子供たちはあらかじめ自分の名前を和文通話表から書き出しておいた内容を伝え、子供たちがオペレーターを交代すると、8J1RL側もマイクを握る隊員が交代するという形で、交信相手をしてくれた8J1RLから届く隊員の名前を懸命に聞き取っていった。

 

 中学1年生(3アマ)の女の子がJA1RLから呼び出すと、8J1RL側も女性オペレーターが応答するというサプライズもあった。

 

 

まず2アマの資格を持つ小学5年生が200W機で8J1RLとの交信に成功


続けて3アマの4人が50W機で順次交信を行った

 


さらに4アマの2人が10W機で、苦労しながらRSリポートと名前を交換

 

最後は、アマチュア無線の制度改正により“アマチュア無線の資格を持たない者の体験運用”の条件が大きく緩和されたことから,初めて無資格者による体験運用が行われた。JA1RL運用委員会メンバーのサポートを受けながら200W機で3人が南極との交信を楽しんだ

 

 

 最後にJG1KTC髙尾会長から8J1RLに対して謝意を伝え、8J1RLからは「10人全員成功おめでとうございます!」の声が聞こえてきた。

 

 全員の交信終了後、髙尾JARL会長は子供たち1人ずつに交信記念証と記念品を手渡し、「今日はご苦労様でした。時間はかかりましたが、集まっていただいた皆さん全員が無事に交信できてよかったです。きょうの感動を忘れないでアマチュア無線を楽しんでくださいね」と締めくくった。

 

 JA1RLとの交信終了後も、南極では8エリア(北海道管内)を中心にオープン。各地から呼ばれていたようで、夜遅くまで8J1RLでは「こどもの日特別運用」を行い、多くの子供たちとの交信に努めていた。

 

 

JG1KTC髙尾会長から、8J1RLの運用を担った第64次日本南極地域観測隊のみなさんに対して謝意が伝えられた


髙尾JARL会長から子供たち一人一人に8J1RLとの交信に成功の「交信記念証」や記念品が手渡された

参加した子供たち配られた記念品の中身

参加した子供たち10人と保護者のみなさん、運営スタッフの記念撮影

 

 

 

●関連リンク:
・ JARL南極局8J1RLの「こどもの日特別運用」、初の試みとなった体験運用を含めて、JA1RLから子どもたち10名全員28MHz帯で交信に成功!(JARL Web)
・南極・昭和基地8J1RLが「こどもの日の特別運用」を行います!(JARL Web)

 

 

 

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