国内外のトップレベルの放送機器、映像機器などを一堂に集めた“音と映像と通信のプロフェッショナル展”として、11月13日から15日までの3日間、千葉県の幕張メッセで「Inter BEE 2013」が開催された。今年は、4K、8Kと言われるスーパーハイビジョン映像のメーカー展示が目立ったが、hamlife.jpが気になるのが、2014年5月31日に電波法改正で終了する放送事業用アナログ無線の代わりとして登場する4FSK(4値FSK)方式のデジタル無線機だ。
広い会場で見つけたのは株式会社JVCケンウッド製の「放送事業用VHF帯4FSKデジタル連絡無線システム」。今年は同社は出展しておらず、通信機器の販売や通信設備工事などを行う田中電気株式会社のブースで展示されていた。
JVCケンウッドは、放送事業者の連絡用無線のデジタル通信方式として、一般社団法人 電波産業会(ARIB)が制定した「放送事業用4FSK連絡無線方式標準規格」(ARIB STD-B54)の策定にも協力。同規格によるVHF帯4FSKデジタル連絡無線システムとして、ハンディ機「TCP-D105BC」とモービル機「TCM-D166HBC」、そして基地局用として「TCB-D109BC」を発表している。
どの機器もデジタル仕様ではあるが、移行時を考慮し現用のアナログFM波にも対応。16bitの秘話機能や個別/一斉/グループ呼び出しが可能なセルコール機能などを搭載している。とくにGPS機能は、無線機から発した位置情報で、FPU(テレビ用の小型伝送装置)の方向調整や報道現場で刻々と変化する位置をリアルタイムに地図上にマッピングしたり、基地側ではIPネットワークに接続することで、既存のアナログ専用回線ともつなぐことができる。
ハンディ機「TCP-D105BC」は、1/5W出力で防塵防水仕様でイヤホン付きクリップマイクロフォンや、大容量リチウムイオンバッテリー、6連急速充電器、アンテナも付属以外にヘリカルアンテナが2種類など豊富なオプションが用意されている。
モービル機「TCM-D166HBC」は10から50Wと出力が変更できるほか、カスタム製品として「TCM-D166BC」という出力が1~5Wモデルを用意している。モービル機(車載機)という特性を活かして、多彩なインターフェイスで放送現場をバックアップする。
今回、田中電気のオリジナル製品としてインカムなどの信号をデジタル無線機に乗せて運用できる専用アダプター「TDJ-001」が出品された。キャノンコネクターで接続する。4FSKデジタル通信は、通常の連絡以外にもさまざまな信号を電波に載せることができるのがメリットだろう。
●関連リンク:
・放送事業用4FSK連絡無線システム(PDF形式/株式会社 JVCケンウッド)
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