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<免許人による手記を掲載!!>日本初!?「10枚組み」のアマチュア局免許状が発行に

 

(前ページからの続き)

 

 

寄稿「10枚組免許状」受領について(JJ0RHL / 鈴木康之)

 

 私のアマチュア局、JJ0RHLはかねてから無線設備の変更を申請していましたが、2018年2月19日付で、信越総合通信局から免許(変更許可)をいただきました。結果として、本紙に加えて9枚の別紙が添付される、10枚組みの免許状になりました。Twitter等で披露したところ「大変稀である」というご指摘や、どのような変更申請だったのかの質問など、反響を多くいただきましたので、簡単にまとめてみました。

 

●機器構成について
 今回の申請は一気に行ったのではなく、2013年に信州大学に勤務していた時に信越管内で移動する局を新規に開局して以来、何度か行った変更申請の結果としてこのようになりました。直近の変更では、135kHz帯の免許を受けていた第5送信機として後述する「米国製QRP CW/Data トランシーバ」を軽微な変更として475kHz帯を増設しする申請を行っていました。

 

 この信越管内の移動する局以外に、移動しない局として東海管内にJR2BEFも開局しています。こちらは文字どおり“移動しない”局で、住宅街に常置された無線局で475kHz帯を運用することは困難でもありましたので、475kHz帯をやるには「移動する局」で行わなければならず、また、新規に別開局をすると「移動局が2局問題」「475kHz帯臨局検査」等の頭痛の種も発生が懸念され、変更に変更を重ねた信越の移動局で整備してきました。

 

 そのような背景があるため、現状の免許は第10送信機まであります。しかし中にはAPRSハンディ機やドローンに搭載する5.7GHzFMテレビ送信機、10GHzガンダイオード発振送信機等も含まれていて、単に「多くの周波数帯や電波型式を包含させる」だけの目的であれば重複する機器があります。今回の免許の内容とするに必要最低限のものにスリム化すると考えると、基本的に「5送信系統(以下実際と異なりますが、便宜上「第1~第5送信機」とします)」あればよいことになります。

 

 特徴的なことがあります。
① そのうちの4つの送信系統(ここでは第1から第4送信機、とします)はマイクロウエーブ用に準備している2m→1.2GHzおよび、1.2GHz→それ以上の周波数帯、のトランスバータ(以下「トランスバータ群」と呼称します)を共用で使用しています。
② また①のうち第1送信機を除く3系列では「マイクロコンピュータ変調装置」を共用導入し、基本的には送信機のAFラインにPCのオーディオ出力を接続、PCで作った情報を送信させることで、多くの電波型式を得る、ことにしています。

 

 以下、各送信系統について詳述します。まず第1送信機は親機がドイツ製の地上デジタルアマチュアテレビ(ハイビジョンなど各種方法が扱える)送信機。これにトランスバータ群を接続し、1.2GHz帯以上のバンドでテレビ関係の型式を得ます。今回の申請には関係なく従来から免許を得ているものです

 

 第2送信機は親機が「FT-817ND」です。これに、パーソナルコンピュータ変調装置を用いて、特にデータ系画像系あるいはそれらの多重等の電波型式を得ています。従来の設備とハード構成の変更はありませんが、ソフト的にこの方式で取り扱うことができる型式が増えましたので、その分は今回の申請の際に追加しています。

 

 第3送信機は昔のSSB機をベース(新スプリアス規格をクリアできるよう、フィルターは入念に装着)にして、平衡変調後に搬送波を再注入したりできる改造を施したものを親(H3EとR3E)にして、FTV-901を一段かませて前述のトランスバータ群へ。今回の申請で新規に追加した部分です。

 

 第4送信機は完全自作の「150MHzパルス変調(PWM/PPM)送信機」が親(L3E/M3E)で、前述通りパーソナルコンピュータ変調装置とトランスバータ群へ接続しています。この第4送信機は、実はL3Eだけを得ようと考えて設計したものですが、PWMとPPMは微分と積分の関係でもあり、PWMのパルス波を微分回路に入れればPPMのパルス波になるので、回路上にPWM/PPM切り替えスイッチをつけて微分回路をNE555で搭載させてM3EがOKとなります。さらに、無変調のパルスの搬送波を電鍵で直接断続させることで、P1Aという電波型式も得ることができます。この第4送信機も今回の変更で追加しました。自作機なのでスプリアス関係が心配ですが、いきなり高い周波数を作らず150MHz送信機を親にしていますので、手持ちの安い測定器でトランスバータ群への投入前のスペクトルなどが確認できて便利です。

 

 第5送信機は前述通り米国製QRPトランシーバのキット製作品です。今回最新の変更申請では、電波を発射する地点の情報についても含め一切の変更はありません。

 

 基本「FT-817」以外はトランスバータ群を含め自作機の取り扱いになりますのでTSS株式会社に保証をお願いしました。よって、今回の変更のメインは第3・第4送信機に関する部分、すなわち電波型式の1文字目が R・H・LとM・Pに関する部分が増えた、ということになります。

 

 

工事設計書の一部分(鈴木氏提供)

 

 

●装置はどこまで完成しているのか
 無線機は基本的にほぼ完成(第1送信系統の親機は既製品そのまま)しています。マイクロウエーブに関してはここ25年ほど、個人の私的研究として製作してきたストック、あるいはリタイヤした先輩ハムから譲り受けたものなどガラクタですが沢山あります、実際に今回の申請では変更をしていませんが前述のように「ガン発振器とホーンアンテナを組み合わせた10GHz送信機」も現役で使っています。

 

 本質ではない部分、即ち135GHz帯トランスバータだけは局発が不安定で、設計通りにいかない(またあとで軽微な変更を届ける)かも、と思っています。また77GHz以上は私の手元に正確な測定器がないので、実際に電波を出す前に、大学の別の先生のところに持ち込むなどしてきっちり計測しないといけないと思っています。最大のポイントはアンテナで、マイクロ波は問題ないのですが、周波数が低いところの空中線がなかなか準備できないところです。

 

●多数の周波数帯電波型式を申請した理由
 少し前の変更申請で、パーソナルコンピュータ変調方式を取り入れて「一括指定コード」に包含されていない電波型式を追加申請した際、免許状が4枚組みで発行されました。一瞬驚きましたが、「このまま使う電波型式が増えていった場合、どんなことになるだろうか」と興味を持った点、および「届け出だけで済む軽微な変更」を活用して運用上『ほぼ包括免許』みたいな免許状の実現、にも繋がると考えたからです。

 

●申請を通すのに苦労した点
 私はほとんど苦労していません。電子申請をする際のインターフェースが今回のような申請をするには余りにも不便(こういう申請があることを想定していなかったかも、とも想像)だったため、最初から最後まで紙媒体の申請にしたからです。最終的には各機器のブロック図やパーソナルコンピュータ変調装置の各電波型式の諸元一覧等作成しないといけなくて(とはいえ、資料等は膨大に持っていましたので、パソの時代ですから楽勝です)、変更申請書の総ページは50ページを超えました。大変だったのは、TSSさんと信越総通さんではないでしょうか。

 

 TSSさんは、若干のレスポンスの遅さこそありましたが、他の普通の免許の処理に与える影響も考慮し、私としてはそんなに急かしたりはしませんでした。特に第1送信機のテレビ関係でTSSのご担当者は何度も同じ機種を審査した経験があったそうで、1.2GHzだけ免許される帯域幅が狭いことなど的確に指摘していただきました。

 

 また第4送信機についても技術的に適切なご助言をいただき、何度かデータをやり取りもしました。L3E・M3E以外のパルス系の電波型式は過去に免許例がほとんどないこともあり、「総通さんが何か言ってくるかも。でも、できる限りのことはしましょう」と、最後まで前向きに対応(私としては応援してくださっているようにも感じました)してくださいました。

 

 TSSさんとのやり取りで一番印象に残っている指摘は「総通さんが“パルス系の電波型式での交信相手はいないのでは?”と言ってきたらどうしますか」といった点です。
 私はこれを、『アマチュア無線とはなんですか』と聞かれたに等しい感覚で、ちょっと考え込みました。おそらく「新しい電波型式」を申請される局長さんはみな同じ壁にぶつかるのだな、と思いましたが、私は「免許された実績ができればだんだん増えるんじゃないの?」「まずはうちの大学のクラブ局が相手かもね」と呑気に答えました。それで正解だったかどうか…。実際には信越総通さんからそのようなことは聞かれませんでした(苦笑)。

 

 信越総通さんも大変だったと思います。免許状にはほぼすべての電波型式で「占有帯域幅併記」の状態になっていますが、私が作成した紙版の変更申請では、パルス系のみ「帯域9MHz」を指定していた程度で他はほとんど何も指定しませんでした。総通さんの担当者は、私の作った諸元表から占有帯域幅を計算し、免許に綺麗に反映してくださったものと考えています。これは正直届いた免許状を見たときに度肝を抜かれました、驚きました。

 

 また、免許状のスキャンを見ていただくとわかりますが、平成30年3月で免許が切れることになっています。実は既に今回の変更申請を出す前のタイミングで再免許申請が済んでいて、実はこれとは別に35年まで有効の免許状もあるのです。そんな中で今回変更したため、総通さんとしてはは30年3月までの免許状と35年3月までの免許状を作らなければなりませんでした。そのため今回私の手元に届いた免許状は10枚組みが2セット、枚数が増えることを見越して大き目の封筒に120円の切手を貼って提出していたのですが、重量オーバーで結局85円料金不足、封筒を受け取る際に配達の方に差額をお払いした、というおまけもあります。

 

●今後の方針
 可能性があれば、電波の型式を増やしていきたいです。具体的にいくつか候補がありますので、PCで信号が作れるのかを検討しながら進めていきたいと思います。なお、周波数帯を増やすのはもうできないと自覚しています(老眼が進行し、ミリ波の扱いが厳しくなってきました…)。

 

 全国を転々とせざるを得ない職業柄もあり、あえて現在本拠としているところと違う信越総通内の局を維持してきましたが、定年が近づき、おそらくもう信州大学に戻る可能性はなくなったかも、と感じられるようになりましたので、この局を根こそぎJR2BEFの「移動する局」に変更してしまうことも、最近考えておりますです。ただそれをやってしまうと、親身に調べてくださった信越総通の皆さんが悲しむのでは…との思いもあり、凄く複雑です。しばらくは現状で推移かな、と予測しています。

 

 3月からは、免許状の掲示の義務がなくなります。残りわずかな2月ではありますが、「主たる送信装置のある見やすい場所」に10枚並べておこう、と考えています。そして遅滞なく4枚組の旧免許状は返納となります。

(JJ0RHL 鈴木康之)

 

 

 

●関連リンク:
・無線局等情報検索 JJ0RHL(総務省)※2018年1月20日現在のデータのため、今回の変更は反映されていない
・メモ「JJ0RHLの10枚組免許状」に関する資料(静岡大学大学院 事業開発マネジメントコース 鈴木研究室)

 

 

 

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