既報のとおり、岐阜県の無線ショップ「CQオーム」は現在、アイコムのポータブル機「IC-705」などで使える電源不要の放熱パーツ「OHM-DRAGON-FIN」の開発を進めている。同店はこのほど、ブログや動画にテスト結果を出すことを条件に、サンプル品の無料貸し出しを始めたが、hamlife.jpスタッフもそれに応募し試用することができた。はたしてどの程度の放熱効果があったのか、気になる計測結果を紹介する。

CQオームから届いたサンプル品。貸出期間は1週間

箱の中には大小2つのヒートシンクと熱伝導シート、ヒートシンク装着用ケースが入っていた。このうちヒートシンクと熱伝導シートは販売予定の正式版だが、装着用ケースはプロトタイプという説明だった
移動運用ファンを中心に人気を集めているアイコムのHF~430MHz帯ポータブル機「IC-705」は、外部電源を使って長時間運用(10W出力)を続けていると本体内部の温度が上昇するため、過熱防止の目的で自動的に5W出力にパワーダウンする設計になっていることが知られている。もしそれでも温度上昇が続いた場合に備えて、自動的に送信が停止する温度プロテクション機能も搭載している。そのためユーザーは、少しでも10W運用の時間を長くしようと、さまざまな放熱の工夫を行っている。またいくつかの個人や販売店では独自の放熱グッズ(クーリングファンなど)を販売しているようだ。
CQオームがオリジナル商品として開発を進めている放熱パーツ「OHM-DRAGON-FIN」は、国内有名メーカーの大型ヒートシンクを使用したもの。バッテリーパックを外した無線機本体とヒートシンクの間に高性能のシリコン製熱伝導シート(付け外し可能)を挟んで、本体から発生した熱を効率良くヒートシンクに導き、大型フィンから放熱させてパワーダウンを防ぐというコンセプトだ。電源不要で放熱できる点に魅力を感じる移動運用ファンも多いだろう。

OHM-DRAGON-FINを取り付けたIC-705。合計60枚のフィンが生えたヒートシンクで放熱効果を高めることができるという
<OHM-DRAGON-FINの特徴(CQオームのWebサイトより)>
★無線機のバッテリーパックと付け替えて使用。無線機を冷却。パワーダウン対策が可能です。
★自然冷却のヒートシンク採用のため電源不要。シンプルで軽量。電気的な故障もありません。
★ヒートシンクは国内製を採用、高品質のものを使用しています。
★無線機への取り付け方法は純正バッテリーパックと同じ。付け外しが容易です。
★無線機とヒートシンクの間にソフトシリコンサーマルパットを採用。熱伝導率を上げ安定した冷却を可能にしています。ソフトシリコンパットは粘着性がないので取り外し可能です。
★ヒートシンクパーツは簡単着脱。正方形なので90度フィンの向きを変更できます。縦置き・横置きに応じて、風通しの良い方向へ向けることで効率のよい冷却を狙えます。
CQオームは、この放熱パーツの開発を進めており、ブログや動画でテスト結果を紹介することを条件にサンプル品の無料貸し出しを行っている。このほどhamlife.jpスタッフも貸し出しを受け、IC-705で試用したので紹介する。
◆借用した「OHM-DRAGON-FIN」の印象
・大小2つのヒートシンクとソフトシリコン製のサーマルパット(熱伝導シート)、ヒートシンクを装着するためのケース(プロトタイプ)が届いた。暫定版の取扱説明書も同梱されている。

借用したサンプル品の「OHM-DRAGON-FIN」には暫定版の取扱説明書が入っていた
・ヒートシンクの放熱フィンはかなり薄くて鋭利。放熱効果は高そうだが、取り扱いを誤ると怪我をするかもしれないという心配や、うっかりどこかに当ててしまうと、すぐに曲がってしまいそうな不安がある。

大小2つのヒートシンクと熱伝導シート(サイズは大=LタイプがW50×H40×D50mm、小=SタイプがW50×H25×D50mm)。ヒートシンクのフィンは薄くて鋭利なので取扱注意。熱伝導シートは非常に柔らかく粘着力が高い
・熱伝導シートは非常に柔らかく両面とも弱い粘着力がある。しかし厚みがあるため、IC-705側に熱伝導シートが残った状態だと純正バッテリーパックが取り付けられない。熱伝導シートは何度も着脱していると粘着力がなくなったり、放熱効果が落ちてしまうのでは? という不安もある。2~3枚付属させるか、熱伝導シートだけ簡単に追加注文できる仕組みが欲しい。

IC-705の背面に熱伝導シートが残ってしまうと、厚みがあるためアイコム純正のバッテリーパックが装着できない
・熱伝導シートはまずヒートシンクの底面にしっかり貼り付ける。その後装着用ケースに入れてからIC-705に取り付けて密着させる。しかしIC-705に取り付けた後で何度か着脱を繰り返すと、熱伝導シートがIC-705側に残ってしまうことがあった。またIC-705から取り外して保管したいときは、熱伝導シートの表面を保護する工夫が必要になる。

ヒートシンクを装着用ケース(プロトタイプ)に入れたところ

装着用ケースに入れたヒートシンクをIC-705に取り付けたところ
◆hamlife.jpスタッフによる測定について
最初はより実運用に近い、近所の公園での屋外測定を考えたが、ゲリラ雷雨を伴う雷雲が発生したことと、ヒートシンクあり・なしの温度比較をできるだけ同じ条件(気温、風速など)で揃えるために、無風状態の屋内測定とした。測定は以下の①②の順で行った。

終端形電力計や赤外線放射温度計を準備
・測定①:最初はIC-705にヒートシンク(大)を取り付けた状態で、ダミーロードを使って10Wの連続送信を行い、温度変化を計測する。
※連続送信は10Wから5Wへパワーダウンした後も続け、温度プロテクションが作動し送信が自動停止した時点で終了する。
・測定②:上記①の実験終了後、ヒートシンクを外したIC-705を常温で5時間以上放置。内部温度が室温と同じになったことを確認後、IC-705の背面に何も付けない状態(バッテリーパックも非装着)から再度10Wでの連続送信を行い、その温度変化を①と比較する。
※連続送信は10Wから5Wへパワーダウンした後も続け、温度プロテクションが作動し送信が自動停止した時点で終了する。

ヒートシンク表面の温度測定には赤外線放射温度計を使用。毎回同じ地点から、ヒートシンク(測定②ではIC-705背面)の同じ位置を測った
<実験・測定の条件>
・設置と測定場所:hamlife.jpスタッフ宅の室内
・測定時の室内温度:33~34度(無風状態、エアコンなし)
・IC-705の設置場所:アクリル台を使ってフローリング床から20cmの位置に固定
※IC-705後部の周囲20cm以内に障害物無し
・電源:安定化電源でDC13.8Vを供給
・送信周波数:7.050MHz
・電波型式:RTTY
・実験開始時の送信出力:10W(終端形電力計に接続し常時監視)
・VSWR:1.0(終端形電力計使用のため)
・温度計測方法:赤外線放射温度計を使用し5分おきに計測
※毎回同じ地点から、ヒートシンク(またはIC-705背面)の同じ位置を計測する
はたしてヒートシンクの効果はいかに!? 気になる測定結果は 次ページ で紹介!
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