市販のアマチュア無線用アンテナや関連商品を毎回1モデルずつインプレッションしていくこの企画、第1回は「移動時用 可変型広帯域アンテナ」と銘打って登場した、第一電波工業の7~430MHz帯ホイップアンテナ・RHM10を取り上げる。移動運用ファンから「車のトランクに1本常備しておくと、いざというときに役立つ“スーパーサブ”的なアンテナ」と評価されている、その秘密に迫っていこう。
移動運用をしたことがある人なら「“きょうは6mで頑張ろう”と、50MHz帯のアンテナを立てたが、コンディション予想が外れて閑古鳥状態。HFの各バンドの様子を手早くチェックしてみたい」とか、「7MHz帯で運用していたら、24MHz帯のリクエストがあった。サービスをしたいがアンテナが対応していない」「メインで使っているアンテナの調子が悪い。予備用のアンテナを持ってくればよかった…」といったような経験が一度や二度はあるのではないだろうか。こんなときに役立つのが、幅広い周波数に対応して手軽にQSY可能、しかもハイパワー対応でコンパクトに収納できるという、第一電波工業のホイップアンテナ・RHM10(希望小売価格26,800円+税)だ。
RHM10は7~430MHz帯に対応したホイップアンテナで、給電部はM型コネクターを採用。上部が伸縮自在なロッドエレメントを使用し、全体を縮めると約50cmのショートサイズになるので持ち運びも容易である。
7~30MHz帯は下部のコイルが収められた部分(筒状になっている)をスライドさせることで任意の周波数に同調させることができる。例えば「7.080MHzのSSBで運用していたが、7.010MHzのCWにQSYしたい」といった場合、SWRメーターを見ながら下部のスライドを微調整するだけで簡単に最良のマッチングにできる。HF用のモービルホイップでありがちな同調範囲の狭さを気にする必要がない。
また7~30MHzの範囲なら、アマチュアバンド以外でも同調できるため、取扱説明書のグラフを見ながらコイル部分をスライドさせることで、さまざまな短波放送バンドや、HFエアーバンド、漁業無線などの受信がマッチングの合った状態で楽しめる。
ただしこのアンテナは「移動運用先で仮設的に使う」ことを前提にしたもの(それゆえ「移動時用 可変型広帯域アンテナ」と銘打っている)なので、強度や防水性の関係からモービル走行中に使用することはできない。また車体や金属の手すりなどにしっかりアースすることが必要だ。ちなみに耐入力は130W(SSB)なので、50W機でのパワフルな移動運用にも余裕を持って使えそうだ。
今回、RV車のハッチバック基台(ボディアース済み)に取り付けてみたが、HFの各バンドはコイル部のスライドだけで簡単に同調が取れ便利さを実感した。14MHz帯は最良点のVSWRが1.4以下、18MHz帯は1.2以下、21/24/28MHz帯は1.3以下に収まった。周囲の建物の影響があったことから、10MHz帯は最良点のVSWRが1.8、7MHz帯では1.7程度だったが、こちらも無線機のアンテナチューナーを併用することで問題なく使用でき、国内外とのQSOを楽しめた。
さらにこのアンテナは、ロッドエレメントをすべて伸ばした状態(コイルのスライド部分は短くする)で、50MHz帯(1/4波長)や144MHz帯(5/8波長)で同調。またロッドアンテナを全部縮めた状態にした場合は、144MHz帯(1/4波長)と430MHz帯(5/8波長)で使用できる。
このアンテナを1本用意しておけば運用可能なバンドが増え、いざという場合に役立つだろう。まさにトランクに常備しておいて損のない、“スーパーサブ”的な移動用アンテナと言えそうだ。
<第一電波工業・RHM10の規格>
・周波数:7~430MHz帯
・耐入力:130W(SSB)
・インピーダンス:50Ω
・全長:約0.5~1.77m
・重量:300g
・コネクター:M-P
・形式:1/4λ短縮型(HF)、1/4λ(50/144MHz帯)、5/8λ(144/430MHz帯)
・付属品:ラジアルエレメント、取扱説明書
・希望小売価格:26,800円(税別)
なお今回、アンテナのVSWR測定には、リグエキスパートジャパンのアンテナ・アナライザー「AA600」(希望小売価格:税込69,800円)を使用した。アンテナの同調状態やVSWRを測定し(0~600MHzの範囲で任意設定可能)、SWRグラフ、スミス・チャートなどでカラー表示し、記録させることができる。全国のアマチュア無線ショップでの取り寄せも可能だ。
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