総務省は「規制について社会経済情勢等に適合させ、国民や事業者の負担の軽減を図る観点から、見直し」として、「規制の簡素合理化に関する調査」を行ってきた。その「見直し(勧告)に対するその後の改善措置状況(2回目のフォローアップ)~関係者からの意見・要望への対応~」が7月21日に公表された。とくにアマチュア無線に関しては“免許手続等の簡素合理化”が挙げられる。
今回の調査は平成25(2013)年8月から平成26(2014)年10月まで実施されたもので、背景には「規制は、国民の生命や財産を守り、豊かな生活を維持するために必要不可欠なものであるが、時代の変化や技術の進歩に応じて再検討しなければ、規制が原因となって、事業者の技術開発を遅らせ、財・サービスの品質や価格を固定させてしまうといった弊害が生じるおそれ」「このため、政府では、民間投資を喚起し、生産性を高めるとともに、潜在的な需要を顕在化させるなど、豊かな国民生活を実現するために不可欠な政策ツールとして、規制改革を最重要課題の一つとして位置付け、継続的に規制の見直しを実施」「この調査は、以上のような状況を踏まえ、規制に伴う国民や事業者の負担を必要最小限のものとする観点から、規制の実施状況、規制に伴う国民の負担の状況などを調査」と記している。
アマチュア無線関係では、規制の簡素合理化勧告が平成27(2015)年6月17日に総務省へ伝えられ、その後の改善措置状況に係る回答が総務省より平成28(2016)年6月24日にあった。
抜粋すると「無線設備の取替え及び増設を行う場合、無線従事者の資格の操作可能な範囲内においての手続の簡素化が必要である」という勧告に対して、「申請書様式等に見直すこととした」「無線従事者の資格による申請可能な範囲を踏まえた入力方法の簡素化についても検討」「平成28年度中を目途に結論を得る(平成30年度に施行予定)」という、興味深い内容が記載されている。
勧告事項
1 長期間見直されていない規制等の社会経済情勢等への適合
(1) 事業者等のニーズや現状の技術に対応していないもの
(勧告要旨)
したがって、関係府省は、規制について社会経済情勢等に適合させ、国民や事業者の負担の軽減を図る観点から、次の措置を講ずる必要がある。
① アマチュア無線の利用者の負担軽減を図るため、技術基準適合証明を受けた無線設備の取替え及び増設を行う場合には、無線従事者の資格の操作可能な範囲内において、手続の簡素化を図ることについて、考え方を整理すること。(総務省)
(調査結果)
○ 調査したアマチュア無線局免許人は、アマチュア無線局について、無線従事者の資格で認められている操作可能な範囲で、技術基準適合証明を受けた無線設備の取替え、増設を行う場合の変更の手続が煩雑であり、これらを不要にすべきとしている。
関係府省が講じた改善措置状況
【総務省】
→ アマチュア無線の利用者の負担軽減を図るため、技術基準適合証明を受けた無線設備の取替え及び増設を行う場合に、無線従事者の資格の操作可能な範囲内において、手続の簡素化を図ることが可能かどうか考え方を整理するため、他の無線局との関係等主な論点を挙げ、平成27年度中を目途に検討を行っているところである。
⇒ アマチュア無線の利用者の負担軽減を図るため、無線設備の取替え及び増設を行う場合に手続の簡素化を図ることについて、他の無線局との整合性、電波監理上の影響等を踏まえて考え方を整理した。その結果、現在無線局全体を対象に進めている電子申請を主眼とした申請書様式等の見直しにおいて、アマチュア無線局についても書面及び電子申請共通の分かりやすい申請書様式等に見直すこととした。あわせて、無線従事者の資格による申請可能な範囲を踏まえた入力方法の簡素化についても検討し、これらについて、平成28年度中を目途に結論を得ることとした(平成30年度に施行予定)。
これまでにいたる経緯と詳細は、研究の第一人者、JJ1WTL・本林氏のブログ「CIC」が詳しい。下記の関連リンクから確認してほしい。
●関連リンク:
・総務省 規制の簡素合理化に関する調査-関係者からの意見・要望への対応-<勧告に対する改善措置状況(2回目のフォローアップ)の概要>
・「規制の簡素合理化に関する調査」の勧告に対するその後の改善措置状況(2回目のフォローアップ)~関係者からの意見・要望への対応~(PDF形式)
・免許手続の簡素化,その後(CIC)
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