無線FAX(ファクシミリ)の受信用ソフトとしてさまざまなものが登場しているが、なかでも日本語に対応しているのが、気ままソフトウェア工房の「KG-FAX」で、無線FAXに興味のあるアマチュア無線家が愛用している。その一方で、日本語に対応したFAX送信ソフトは存在せず、送信するためのハードルが高かった。今回、JARL登録(特殊)クラブのファクシミリ・クラブメンバーの一人、板橋直樹氏(JI1RKA)が、海外のライブラリを活用する形で日本語に対応したFAX送信ソフト「HamFAXSendTool(Windows版)」を開発して無料での提供を開始した。板橋氏は「当ソフトは純粋に送信のみを賄うソフトで軽量に動作します。受信や送信画の作成は他ソフトに委ねることにして、シンプルにしました」の説明している。
アマチュア無線の楽しみの1つにFAX(ファクシミリ)での交信がある。40年前、有線電話につなげてFAXを行った装置の払い下げ品(パナファックス3000やミニファクスなど)が大量に市場に出回り、それらを改造して無線通信を楽しむという一大ブームが起きた。
時を経て、アマチュア無線におけるFAX通信は、パソコンを介して行うのが主流となっている。専用ソフトをインストールするだけで、手軽に無線FAXが楽しめるからだ。
なかでも受信用ソフトとして有名なのが、気ままソフトウェア工房の「KG-FAX」である。受信機のイヤホン端子や外部スピーカー端子と、パソコンのマイク端子とを接続するだけで、面倒な調整を行わずFAX画像がパソコン画面に現れる。短波帯で送信されている気象FAXを「KG-FAX」で受信している無線家も多い。
しかし、FAX送信ソフトとなると海外製のものが多く、英語表記に不慣れだと敷居が高く感じてしまうため、無線FAXは“受信だけ”という状況が長く続いている。
今回、日本語に対応したFAX送信ソフトを開発するべく、板橋直樹氏(JI1RKA)が海外のライブラリを活用する形でWindows版の「HamFAXSendTool」を開発。無料配布を始めた。2023年8月に東京ビッグサイトで開催された「ハムフェア2023」のファクシミリ・クラブブースでデモを行っていたので、ご覧になった方もいるだろう。
板橋氏からhamlife.jpに届いた、アマチュア無線用FAX送信ソフト「HamFAXSendTool(Windows版)」の開発意図や仕様などを紹介しよう。
日本国内において、FAXの受信ソフトは「KG-FAX」がメジャーです。一方、送信ソフトは海外ソフト(MultiPSKやJVComm32など)しか現状ありません。そこで、海外のライブラリを活用する形で作成することとしました。
実際問題、FAXの免許を下した(免許状に一括コードの記載が入った)としても、「運用方法がわからない」「ソフトが英語だとわからない」と言った声も多く、そういうニーズに答える形で開発しました。
また、運用人口が少ないFAXモードをこのソフトを通じて、もっと身近に感じていただければ…と言う思いも込めました。気象FAXのJMHやJSCの受信をしたことはあるけど、送信の経験はないとの声が多いのが事実です。
当ソフトは純粋に送信のみを賄うソフトで、軽量に動作します。受信や送信画の作成は他ソフトに委ねることにより、シンプルにしました。
●主な機能
・送信回転数:60/120/240/360各rpm
・協動係数:288/576/576+288(起動信号は576、送信は288)
・コールサインが入力されていない場合、起動しない安心設計
・シリアル出力はRTS/DTS両方対応(PTT動作テスト機能あり)
・送信をせず、FAX信号のみWAVEファイルで取り出すことも可能
→テスト用に出力することなどを想定
●動作仕様。
・Windows PC(Win10以上で動作確認済み)
・.net6がインストールされていること
(「.NET デスクトップランタイム」ダウンロード)
・対応無線機:デジタルモード搭載でUSB端子内蔵のリグならたいてい使えます
(八重洲無線系は動作確認済み、他メーカーも恐らく使えると思います)
●関連リンク:
・アマチュア無線用FAX送信ソフト「HamFAXSendTool(Windows版)」
※右上の「ダウンロード」ボタンからZIPとしてダウンロード
・無線FAXデコードソフト「KG-FAX」
・ファクシミリ・クラブ(Facebook)
・ファクシミリ・クラブの紹介
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