米国では電力線搬送通信による障害問題の議論はこのところ下火になっているが、ドイツのアマチュア無線連盟(DARC)は、この件について引き続き問題を提起している。
DARCは、独連邦当局がヨーロッパでは「BPL問題」として知られている、電力線搬送通信による漏洩電波の測定装置で採用した測定方法について問題視している。
DARCの研究員であるDL9KCE Thilo Kootz氏は、連邦通信局が漏洩電波をデータ伝送が行われていないスタンバイモード時に測定していることは問題だとしている。同氏は「当局は測定装置は必要な技術条件をすべて満足しているとして測定を継続しているが、DARCの事前調査では同等の測定装置から規制値の約100倍を超える漏洩が認められる」と指摘している。
DARCの事前調査で判明した疑問点について、当局から回答が得られなかったため、DARCは連邦当局が採用した測定方法を決定した文書のコピーを入手するため、情報公開法に基づき情報開示請求を行ったとのことである。
同氏はスタンバイ状態で電力線搬送通信機器を測定することは、「その測定結果に大いに疑問が残る」と述べている。停止状態の芝刈り機はノイズを発生しないため、停止状態でこれを測定すれば諸規制には抵触しない。このような方法で測定を行えば、いかなる機器もノイズを発生しないため、その機器は市場に投入して問題なしとのお墨付きを与えてしまう結果になると指摘する。
DARCによれば、アマチュア無線家は電力線通信装置については否定的な見解を持っており、電力線搬送通信装置の使用はラジオ放送の受信に広範囲な障害を与える可能性があるばかりか、他の無線通信業務にも悪影響を及ぼすのではないかと懸念を示している。 (ARRLニュース 2月25日 ※許可を得て翻訳転載/(C)ARRL )
●関連リンク:「DARC Questions BPL/PLT Emission Measurement Method」ARRL NEWS
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