★その5：マニアックすぎてボツに…。民放テレビ局の「ヘリコプター中継専用ナビ」が凄い!!
2015年11月に千葉県の幕張メッセで開催された「Inter BEE 2015（第51回 2015年国際放送機器展）」。1200MHz帯の放送中継システムが各放送局でどの程度利用されているのかを調べるため、hamlife.jpのスタッフは、会場で行われた日本民間放送連盟主催の「第52回民放技術報告会」の講演会「ニュース制作を支える報道技術の最新事情」を取材した。
1200MHz帯については日本テレビ（NTV）が、中継用FPUの同周波数帯対応を進めることを表明した程度で期待したほどの収穫は得られなかったが、次に行われたTBSテレビによる「報道用ヘリコプターの中継システム」が実に面白かった。一部はhamlife.jpでも記事にしているのでぜひ読んでいただきたい。
＜「Inter BEE 2015（国際放送機器展）」リポート1＞特定小電力無線を使った「フレキシブル通信システム」、可搬型の「臨時災害放送用FM装置」…etc.
https://www.hamlife.jp/2015/11/20/inter-bee2015/
ところで、同記事ではあまりにマニアックになるためボツにしたのだが、TBSテレビの中継用ヘリコプターには、「ヘリコプター中継見通しエリアナビゲーター」という、自動車で言うとカーナビのようなシステムを搭載している。
TBSテレビの関係者による講演で明かされた、同社報道ヘリのアンテナ配置
ヘリ後部席の調整卓。写真中央上が「ヘリコプター中継見通しエリアナビゲーター」のディスプレイ。この座席に座って上空からのリポートができるよう、顔出しカメラとLEDライトも装備している（写真左上）
TBSテレビは東京・赤坂の本社のほか、東京・池袋や神奈川・大山など関東各地に、取材現場と中継電波（画像＋音声）をやり取りするための中継所（架台）を設けている。
「ヘリコプター中継見通しエリアナビゲーター」は、TBSの取材ヘリの現在位置において、どの中継所の電波が利用できるか、あと何フィート上昇したら障害物（山、建物など）がクリアになって中継できるようになるか、中継に必要な最低高度はどの程度か、などの情報がビジュアルに表示されるのだ。
元々は北海道放送（HBC）技術局が自社用に開発したものを、ヘリコプター関連機器で多くの実績があるプロスパー電子が協力し商品化したという。現在は「ヘリナビくんDC」の名称でHBC、TBSのほか、NHKやMBSなども採用しているという。
講演で紹介された「ヘリコプター中継見通しエリアナビゲーター」の画面。現在高度でどの中継所が使用できるか、予想される電界強度などがビジュアルに表示
講演で紹介された「ヘリコプター中継見通しエリアナビゲーター」の画面。目的地の方向、到着時刻などを表示。まるでカーナビだ
さらにヘリでの取材時に欠かせない「送電線」の情報もマップ上に表示され、低高度で近づくと警告が出るようになっている。
講演で紹介された「ヘリコプター中継見通しエリアナビゲーター」の画面。ヘリ飛行の支障となる送電線の配置や高さ、安全高度などが表示され、警告音も出る
このシステムを導入した取材ヘリは、中継局とのアンテナ方向は自動修正されるので、高度に留意すれば途切れることなく空撮映像を送り続けることができるという。
チャンスがあればぜひ詳細を取材したいと思う、報道ヘリコプターのハイテク中継システムだが、果たしてhamlife.jpで扱えるジャンルか、大変迷っているところである。
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