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<JARL、拡張反対と法令によるアマチュア無線周波数の保護の明文化を求める>総務省、屋外PLC利用推進案に対する意見募集の結果と委員会の考え方を公表

7月22日、かねてより総務省が実施していた、「広帯域電力線搬送通信設備の利用高度化に係る技術的条件」についての委員会報告(案)に対する意見(パブリックコメント)募集(2019年6月12日記事)で寄せられた10件(法人5件、団体2件、個人3件)の内容と、電波利用環境委員会の考え方についての公表があった。電力線を使ってインターネット通信を行う「PLC(Power Line Communication)=電力線搬送通信」のうち、「高速PLC」は2~30MHzの高周波を電力線に重畳して通信を行うため、普及にともなうアマチュア無線への影響が危惧されている。公表された意見の中には、一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)から、今回の拡張への反対と、アマチュア無線周波数の保護の法令による明文化を求めている。

 

 

 

 総務省では、さる6月5日から7月5日までの1か月間、メーター内に通信機能を持たせた電力量計「スマートメーター」の一部機器などで採用されている、電力線を使ってインターネット通信を行う「PLC」について、広帯域PLCの三相電力線や屋外利用の普及を問う意見募集を行った。

 

 そして寄せらてた意見と、それに対する情報通信審議会 情報通信技術分科会の考え方を7月22日に公表。2019年7月23日(火)開催予定の同会において審議を行うとしている。

 

 集まった意見の提出件数10件(法人5件、団体2件、個人3件)で、メーカーや普及促進を進める任意団体などは賛成意見を。一方、2~30MHzの高周波を電力線に重畳して通信を行う高速PLCの屋外利用が普及すると、アマチュア無線バンドをはじめとする短波帯は“雑音”に埋もれることが懸念されるこから、一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)は反対意見を述べている。

 

 

 JARLの提出意見と、それに対する情報通信審議会 情報通信技術分科会の考え方は以下のとおり。

 

 


 

1.基本的見解

 

 報告書案では電力線搬送信号が重畳されていない第3線の状況により磁界強度が上昇することが報告されている。また実測においては全て通信線から10mの地点において信号の影響がないとしている。3相電力を使用する小規模工場等で隣接地境までの離隔距離が十分得られない場合、隣接する施設に想定を上回る影響が生じる恐れが十分ある。適切な離隔距離の条件付けが必要である。

 

 2MHz~30MHzにも及ぶ広帯域の高周波信号は信号線を通すべきであり、高周波特性を保証されない電力線に信号を通す事自体に無理がある。

 

 また、報告書案においては放射磁界強度が周囲雑音の代表値と同等であればよしとしているが、このことは雑音電力が増加することを意味する。

 

 代替えの通信手段が多々ある中で、これ以上の電磁環境の悪化を防ぐために今回の拡張には反対である。

 

 

【情報通信審議会 情報通信技術分科会の考え方】

 

 許容値については、広帯域電力線搬送通信設備が無線設備と共存できる条件としてシミュレーション及び実証実験の結果から導出された結果です。したがって、原案どおりといたします。

 

 また、万が一、実際に障害が発生した場合には、電波法(昭和25年法律第131号)第101条に基づく措置の適用が可能です。

 

 

【修正の有無】

 

 

 無

 

 

 

2.アマチュア無線周波数の保護の明確化

 

 報告書案では「広帯域PLC設備の製造業者などの関係者の努力」にて、万一漏えい電波が無線利用に障害を及ぼした場合に備えて、広帯域PLC設備に漏えい電波による障害を除去することができる機能を施すとある。これはあくまでも努力義務である。

 

 今後、ネット通販等で広帯域PLC設備が輸入される可能性もあり、海外の製造業者にこの努力義務を押しつけても守られる保証はない。漏えい電波による障害を除去することができる機能を施すのであれば、これを避けるためにも少なくともアマチュア無線周波数の保護の法令による明文化を求める。

 

 

【情報通信審議会 情報通信技術分科会の考え方】

 

 広帯域電力線搬送通信設備が個別の設置許可又は型式の指定を受けた設備であれば許容値は満足しており、他の通信に妨害を与える可能性は低いと考えられることから、原案どおりといたします。

 

 また、万が一、実際に障害が発生した場合には、電波法第101条に基づく措置の適用が可能です。

 

 

【修正の有無】

 

 無

 

 

 

公表された一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)からあった意見と情報通信技術分科会の考え方(赤枠はhamlife.jpで記載)

 

 

 

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<6月5日から7月5日まで意見募集>総務省、屋外PLC利用を広範囲に推進!? 「広帯域電力線搬送通信設備の利用高度化に係る技術的条件」について委員会報告(案)を公表

 

 

 

 

●関連リンク:
・総務省 電波利用環境委員会報告書(案)に対する意見募集の結果-「国際無線障害特別委員会(CISPR)の諸規格について」のうち「広帯域電力線搬送通信設備の利用高度化に係る技術的条件」-
・総務省  提出された意見及びそれらに対する電波利用環境委員会の考え方(PDF形式)

 

 

 

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