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<サイクル25でコンディション上昇中>50MHz帯が「ロングパス」によるDX入感で賑わう、10月6日の夜はカリブ海の珍局も登場


サイクル25による太陽活動の活発化で50MHz帯(6mバンド)もコンディションが上昇し、この秋は「ロングパス」によるDX局の入感が相次いでいる。日本時間の2023年9月28日(木)早朝にはEA(スペイン)が入感したほか、10月4日(水)夜はFG(カリブ海 グアドループ)やYV(南米 ベネズエラ)、10月6日(金)夜はPJ4(オランダ領ボネール)、WP4(プエルトリコ)、HI(ドミニカ)、V2(アンティグア・バーブーダ)といったカリブ海方面がそれぞれ強力に入感した。もちろん南米や南太平洋方面も連日のようにバンドを賑わしている。また144MHz帯では夕方遅くから夜間に赤道横断伝搬(TEP)でVK(オーストラリア)が入感している。

 

 

10月6日夜の50MHz帯DX入感状況(DXSCAPEより)。カリブ海や南米の局の入感リポートが並んでいる(※時刻表示はUTC)

 

 

 10月6日(金)の22時過ぎ、東京近郊に住むhamlife.jpスタッフが、何気なく無線機のスイッチを入れたところ、50MHz帯が異様な熱気に包まれていた。50.313MHzのFT8でYV1DIG(ベネズエラ)やPJ4GR(オランダ領ボネール)などを呼ぶJA局でワイドグラフがびっしりと埋まっていたのだ。一瞬「こんな時間に何だ?」「HFと見間違えたか?」と思ったが、試しにビームをあちこち振ってみると、インドネシア付近の210度方向で確かに “ご本尊” が見えてきた。ロングパスによる南米・カリブ方面の入感だった。

 

●50.313MHzのFT8画面

210度方向で見えたPJ4GR(オランダ領ボネール)とYV1DIG(ベネズエラ)。6mのロングパスによるカリブ方面がデコードできたのは初めてだった(※時刻表示はUTC)

 

●50.318MHzのFT4画面

50.318MHzのFT4ではPJ4MM(オランダ領ボネール)がSNR “+” で強力に入感。しかし猛烈なパイルアップでついにコールバックは得られず…(※時刻表示はUTC)

 

 その後、50.318MHzのFT4ではオランダ領ボネールのPJ4MMがSNRで+00~+10という信じられない強さで入感、軽快にJAを捌いているのを確認。慌ててパイルアップに加わったが、小設備の悲しさ、呼ぶ局も多すぎてコールバックは得られなかった。あとでPSK Reporterを見ると、自分の信号がPJ4側まで届いていたことは確認できた。

 

PSK Repoterのマップで見た10月6日夜の50MHz帯。日本とカリブ海方面の伝搬が良好で多数の局が繋がっているのがわかる。このマップ上では伝搬がショートパスになっているが、実際はロングパスだった

 

 

 最近、50MHz帯のコンディションが上昇し、9月下旬以降はロングパスによるDX局の入感が相次いでいるらしい。そこで千葉県鴨川市から50MHz帯でアクティブに運用しているJG1TSG 下野さんにお願いし、最近の50MHzの入感状況をまとめていただいた。

 


 

50MHz 朝・夜のロングパスがスタート

 

 黒点数も増減を繰り返しながら着実に増加する中、50MHzのコンディションも着実に上昇しています。昨年の秋、今年の春に続いて「秋のロングパス」が始まりました(以下、文章内の時間表記はJSTです)。

 

★9月28日(木)
 早朝06:30から4局のEA(スペイン)が入感し千葉県を中心にQSOできています。

 

9月28日の早朝に交信したスペインのEA5GVHから届いた電子QSL(※時刻表示はUTC)

 

★10月2日(月)
 午前中にJA3以西で、EA8(カナリア諸島)、CT(ポルトガル)、PY7(ブラジルの東端)が入感。特にPY7は3局が入感するFBな状況だったようです。1エリアには入感せず。

 

★10月4日(水)
 夜、21:55からFG8OJ(カリブ海のグアドループ)が強力に入感。22:10にSSBにQSYした同局ですが、こちらからのコールに、Sメーターを振らせて応答がありました。カリブとのSSBでの交信は20数年ぶり?です。FG8OJによると、この日はSSBで6局、FT8で12局のJAとQSOできたとのこと。同時間にベネズエラのYV1DIG、YV5NEAも入感。特にYV1DIGはFBな信号でした。

 

10月4日に夜に交信したベネズエラのYV1DIGから届いた電子QSL(※時刻表示はUTC)

 

★10月6日(金)
 21:30頃よりオランダ領ボネールのPJ4MMがSSBで交信できるほど強力に入感。さらに前述のFG8OJや、プエルトリコのWP4Gが続けて入感。その後はHI(ドミニカ)が7局、YV(ベネズエラ)が2局、TI(コスタリカ)が3局入感したほか、キュラソーのPJ2BR、アンティグア・バーブーダのV26OCといったカリブの珍局が次々に入感、多くのJA局がコールしていました。カリブ海の入感が落ち着いた頃にはコスタリカのTI8AA、グアテマラのTG9AJRが入感しQSOできています。

 

ドミニカと交信する下野さんのFT8画面(※時刻表示はUTC)

10月6日の夜に交信したHI8GSP(ドミニカ)からの電子QSL(※時刻表示はUTC)

10月6日の夜に交信したPJ2BR(キュラソー)からの電子QSL。100W機に4エレ八木でQRV?(※時刻表示はUTC)

V26OC(アンティグア・バーブーダ)のQSLカード。これは今年3月に50MHz帯で交信したときのもの(※時刻表示はUTC)

 

 このほか、この時期定番の(?)南米も午前中に連日FBに入感しています。9月18日にこの秋最初の入感があって以降何度かオープンがありましたが、特に10月5日(木)はチリ(CE1、2、3、4、6)、CX(ウルグアイ)、LU(アルゼンチン)、PY(ブラジル)が3時間にわたる大オープンとなりました。

 

 6mのロングパスは “連日オープンしない” と言われてきましたが、デジタル時代の今、その常識が変わるかもしれません。

 (寄稿/JG1TSG 下野さん)

 


 

 下野さんによれば、「今年の秋、来年の春・秋と、まだまだ50MHz帯のロングパスによるDXのチャンスは多そう」ということなのでチェックは怠りなく。

 

 一方144MHz帯ではこの秋、イブニングタイプのTEP(赤道横断伝搬)で、夕方遅くから夜にかけて5,000km以上離れたVK(オーストラリア)がFT8でJAに入感している。交信ができているのはJA6・5・4エリアといった西日本が中心だが、日によってはJA3にも入感。もう少しコンディションが上昇すると東日本でも聞こえてくるかもしれない。過去には1エリアの局がモービルホイップでVKと交信できた(SSBモード)という記録もある。こちらも要チェックだ。

 

 

【追記:10月7日23時】
10月7日(土)、50MHz帯では2日連続でロングパスのオープンがあり、日本時間の21時頃から2時間弱にわたりカリブ海方面の各局(PJ4、WP4、HI、V2、VP2Eなど)が入感した。

10月7日夜のオープンではカリブ海の珍局、イギリス領アンギラのVP2ETEが入感(JG1TSG 下野さん提供の電子QSL)

 

【追記:10月9日10時】
・10月8日(日)は21時過ぎから2時間ほどロングパスでカリブ海方面が入感、これで3夜連続となった。DXクラスターにはPJ2、PJ4、WP4、HI、V2、VP2Eなどのリポートが上がった。地域によってはZS(南アフリカ)が一時入感したようだ。
・10月9日(月・祝)は朝7時30分頃から短時間(30分程度)、ロングパスでヨーロッパ方面が入感。イタリア、ギリシャ、スペイン、ポルトガルなどのリポートが上がった。

 

 

50MHz帯のロングパスはこちらの記事も参考に!
(2022年10月7日掲載↓)
<50MHz帯のコンディションが上昇中>10月5日の夜、カリブのPJ4MM(オランダ領ボネール島)がロングパスで入感

 

 

(2023年3月8日掲載↓)
【速報】<「サイクル25」で50MHz帯も好調!>3月8日の朝、6mマン待望のヨーロッパ方面が “ロングパス” で入感

 

 

 

●関連リンク:DXSCAPE

 

 

 

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