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【特別寄稿】相互運用協定のこれまで~一歩進んだアマチュア無線家をめざして<第5回>

外国とのアマチュア無線資格の相互認証(いわゆる相互運用協定=レシプロ)の締結先が久しぶりに増えた。9月29日にニュージーランド(ZL)、10月21日にはインドネシア(YB)との相互認証が施行された。そこで、アマチュア無線のコールサインや法制度研究の第一人者、JJ1WTL 本林良太氏の特別寄稿により、レシプロ制度に分析するとともに、これまでの外国人の日本での運用手段を振り返る。今回はその第5回目だ。

 日本で運用する外国人ハムの“不遇の歴史”は、いよいよ「レシプロの始まり」となる1980年代の話へと進んでいく。

●レシプロ発効
 外国ハムに対しては長らく「社団局の構成員としてだけ」という冬の時代が続いたが、1980年代に入ると「個人局の開設」にむけて法制度が整えられた。 依然、「日本の国籍を有しない人」は無線局の開局ができないんだけれども、「お互いに認め合った国同士のアマチュアは例外にするね」の一文が電波法に書き加えられたのだ。

 

1981(昭和56)年5月23日の官報より

1981(昭和56)年5月23日の官報より

 

 実際にレシプロが締結されるまでにはこのあと4年もの長い期間を要し、1985年の開始となった。 当初はアメリカが対象で、以降の締結の進捗は下表のとおりである(全11か国)。

 

外国人による日本での運用
免許を与えた国
(1993年10月5日以降は国籍不問)
発効
W アメリカ 1985年9月7日
DL ドイツ 1986年5月1日
VE カナダ 1986年11月16日
VK オーストラリア 1987年2月25日
F フランス 1987年5月15日
HL 韓国 1992年8月1日
OH フィンランド 1993年6月16日
EI アイルランド 1993年6月16日
OA ペルー 1998年8月1日
ZL ニュージーランド 2013年9月29日
YB インドネシア 2013年10月21日

 

 このころはまだレシプロ対象国と国籍とが一致していないとならない時代だった。 施行規則の上での規定は、途中若干見直しが入ったが、以下のようなものだった。

 

1990(平成2)年3月31日の官報より

1990(平成2)年3月31日の官報より

 

●7Jコールサイン

 当初、彼ら外国人の個人局むけに用意されたのが、7Jのコールサインブロックだ。 写真は、当時のCQ ham radioの表紙を飾った7J1AAAのJoseph P. Speroni氏らである。

 

CQ ham radio誌1985年11月号の表紙には、7J1AAAのコールサインが割り当てとなったJoseph P. Speroni氏らが登場

CQ ham radio誌1985年11月号の表紙には、7J1AAAのコールサインが割り当てとなったJoseph P. Speroni氏らが登場

 

 このほかにも、例えば7J1AXX、イーグルスのジョー・ウォルシュ(Joe Walsh)氏などが含まれている。 7Jコールサインの割当ルールを下表に示す。 ブロックが特殊(小出し)なのにもご注目いただきたい。 おって1993年になると、外国人による社団局も認められるように緩和された。

 

7Jコールサインの割当
エリア 個人局
(1985~1999年)
社団局
(1993~1999年)
割当 実発給 割当 実発給
関東 7J1AAA~DZZ ~7J1BBR 7J1YAA~YMZ ~7J1YAN
東海 7J2AAA~CZZ ~7J2AIE 7J2YAA~YMZ ~7J2YAF
近畿 7J3AAA~CZZ ~7J3BAE 7J3YAA~YMZ ~7J3YAK
中国 7J4AAA~BZZ ~7J4AEF 7J4YAA~YMZ ~7J4YAC
四国 7J5AAA~BZZ ~7J5AAR 7J5YAA~YMZ ~7J5YAA
九州 7J6AAA~BZZ ~7J6ADH 7J6YAA~YMZ ~7J6YAB
東北 7J7AAA~BZZ ~7J7ADB 7J7YAA~YMZ ~7J7YAA
北海道 7J8AAA~BZZ ~7J8ABB 7J8YAA~YMZ ~7J8YAA
北陸 7J9AAA~BZZ ~7J9AAW 7J9YAA~YMZ ~7J9YAA
信越 7J0AAA~BZZ ~7J0ABP 7J0YAA~YMZ ~7J0YAC
沖縄 7J6CAA~CZZ ~7J6CEQ 7J6YNA~YQZ (なし)
小笠原は本土の関東と同じコールサインブロックを用いた。
これ以前に,沖ノ鳥島の7J1RLがあった(1976年)

 

  その後、1999年5月28日付で、外国人むけの7Jコールサインの規定が廃止された。 以降は、日本人と区別が付かないコールサインが割当てられることになったのだ。 この改正は、「JAプリフィックスの再割当ての解禁」と同時だった。 なお、7Jコールサインの持ち主が、失効・廃止ののちに再開局する場合には、以前有していた7Jコールサインを復活させることができる。
 なお、これらの前に1976年の沖ノ鳥島ペディションで一回「7Jコールサイン」が使われているが(7J1RL)、それは今回の議論の対象とは異なるものだ。 サフィックスでみて2文字(RL)と3文字といった違いもある。
 次回は「国籍条項の撤廃」と題して、レシプロ対象国の免許を持ってさえいれば、その国籍以外の者でも、アマチュア局の開設が可能になった頃の話を振り返る。

寄稿:JJ1WTL 本林良太

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