アマチュア無線家の祭典、「ハムフェア2019」が東京都江東区有明の東京ビッグサイト南展示棟3・4ホールで始まった。初日の8月31日(土)は昨年を3,000名上回る30,000名が来場したとの発表があった。ここでは初日の主要セレモニーと会場内の模様、初お披露目の新製品・参考出品を現地から速報リポートする。なお会場内の各クラブブースの模様は今後別記事で詳しく紹介する予定だ。
今年で43回目を迎えるアマチュア無線フェスティバル「ハムフェア2019」は、今夏にオープンした東京ビッグサイト南展示場4階 3・4ホールでの開催となった。10時の開場に先立ち、9時45分から正面ゲートで開幕セレモニーが行われ、髙尾義則JARL会長(JG1KTC)の挨拶と来賓の紹介、テープカットが行われた。
開幕セレモニー後に一般入場が始まり、場内は朝早くから行列を作っていた多数のアマチュア無線家で混雑。クラブ一般展示コーナーは掘り出し物のジャンク品を探す人たちで賑わった。
メーカーブースでは、アイコムがサプライズ発表したHF~430MHz帯のオールモードポータブル機「IC-705」が最も注目を集め、4回行われたプレゼンテーションは毎回通路までビッシリと埋まる盛況ぶりだった。同社はIC-705の発売を「来春、アウトドアシーズンまでには発売する」とし、価格については具体的な言及はなかったが5/10Wポータブル機であることを考慮して比較的買いやすい価格となることを示唆した。
このほかアイコムでは、HF/50MHz帯のリニアアンプ「IC-PW2」を参考出品。発売から21年が経過している現行機種のIC-PW1は、ファイナル以外のデバイスで入手が難しくなりつつあるものがあるため、数年前から新機種の開発が始まったという。
また「IPトランシーバーで“日本語”で送信すると、アイコムのサーバーとクラウドの翻訳システムを介して、相手局には“英語”で伝わり、その局が“英語”で応答すると逆のプロセスを経て“日本語”に変換して伝わる」という、面白い技術発表が行われた。製品に投入する予定はいまのところないが、アイコムのならやま研究所で基礎研究を続けていくという。
アルインコは142/146MHz帯のデジタル小電力コミュニティ無線「DJ-PV1D」を初展示した(技適取得前のため送信は停められていた)。アイコムのIC-DRC1とは異なる機能を多数盛り込み、スピーカーも一回り大きなものを採用するなど、細部までアルインコらしい工夫がなされていた。大型のS表示や周波数表示はフリラーにも歓迎されるだろう。
アツデンはハムフェア開催直前にHF/50MHz帯の小型1kWリニアアンプのAZR-1000を展示しデモンストレーションを行った。発売は10月頃で販売価格は45万円前後を目指すという。なおブース内にはAZR-1000の米国輸出仕様(1.5kW出力)である「AZR-1500」も展示されていた。
JVCケンウッドは新製品の展示がなかったが、TS-890の体験コーナーを設け、同社のスタッフ数名がTS-890関連の機能を分担してプレゼンテーションするという初の試みで注目された。
八重洲無線は今年、新製品のサプライズ発表はなかったが、新製品のハンディ機「FT3D」を多数配置し操作体験できるコーナーや、200Wタイプの出荷が始まったFTDX101シリーズの体験コーナーとプレゼンテーションがあり、性能の高さを多くの来場者が実感していた。またWIRES-Xのノードオーナーや、最近のHF機ユーザーが入会できるWDXCメンバーにはキャップ(帽子)がプレゼントされる企画も行われていた。
エーオーアールではエアーバンドが4波同時受信できる「AR7400」が参考出品されたが、この製品は「航空無線の受信ファンだけでなく、航空無線の傍受を必要とする業務(航空会社の運航管理部門、空港、官庁など)での使用も想定したものだという説明があった。
このほかに9kHz~3700MHzをカバーし、各種のアナログモードとデジタルモード(D-CR、NXDN、P25、DMR、dPMR、TETRA T-DM、TETRA T-TC、D-STAR、YAESU C4FM、ALINCO)に対応したデスクトップ広帯域受信機のAR5700Dも参考出品された。価格は未定だが、2019年内に発売開始される見込みだ。
なおハムフェア2019の初日終了後、西ホール1階のレストランでJARL定時社員総会のアイボールパーティー(会費制)が行われ、100名を超える参加者で賑わった。会場には7K1KJKのコールサインで知られる泉田裕彦衆議院議員(2アマでJARL会員。元JH0CPA)も訪れ、挨拶やジャンケン大会のプレゼンターを務めた。
●関連リンク:ハムフェア2019(JARL Web)
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