一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)は2020年5月4日、公式サイトのJARL Webに掲載中の告知『「こどもの日」特別運用に関するお知らせ』を更新し、南極・昭和基地のJARL局「8J1RL」が毎年5月5日に全国各地の青少年ハムと優先交信を行っている「こどもの日特別運用」を今年は中止すると発表した。なお「8J1RL局にはゴールデンウイーク期間中、通常の運用にてサービスをお願いしております」との案内も書かれている。
南極・昭和基地のJARL局「8J1RL」は、毎年5月5日に全国の青少年ハムと優先交信を行う「こどもの日特別運用」を実施している。
これに合わせてJARLでは、本部事務局(東京都豊島区)で中央局のJA1RLを運用するとともに、小・中・高校生ハムを招いて同局から21MHz帯で8J1RLとの交信に挑戦してもらう交信イベントも毎年行っている(昨年のリポート記事参照)。
今年は、新型コロナウイルス感染症の急激な拡大に伴い、JARL事務局でのJA1RL運用および小・中・高校生ハムによる交信チャレンジを見合わせることを4月8日に発表していたが(4月8日付け記事参照)、昭和基地からの8J1RLによる「こどもの日特別運用」は「今後の新型コロナウイルスの感染状況等をふまえて実施の有無について検討し、決定次第、JARL Web等でご案内させていただきます」という告知に留まっていた。
5月4日朝9時過ぎに、JARL Webの同告知ページの内容が一部更新され、8J1RLによる「こどもの日特別運用」の中止が決定した。発表内容の全文は次のとおり。
JA1RL局運用委員会から
「こどもの日」特別運用に関するお知らせ
JA1RL局運用委員会では、毎年、5月5日のこどもの日の恒例行事となっておりました南極昭和基地8J1RLの「こどもの日の特別運用」にあわせたJARL中央局JA1RLの特別運用について、新型コロナウィルス感染症の急激な拡大にともない、大変残念ですが、運用を見合わせることとしました。
また別の機会に8J1RL局とJA1RL局の特別運用の機会を設けて小・中・高校生のハムの皆さんから運用希望者の募集を行いたいと考えております。 改めてご案内させていただきます。
南極局8J1RL局と、各地の青少年ハムとの「こどもの日の特別運用」については、新型コロナウイルスの感染拡大により、全国への緊急事態宣言が発令中であり、密閉、密集、密接となる行動の回避、不要不急の外出自粛など、今は、感染拡大の防止、早期の終息に向けて取り組むことを最優先に、こちらについても中止といたします。
南極局8J1RL局には、ゴールデンウイーク期間中、通常の運用にてサービスをお願いしております。
何卒、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
JA1RL局運用委員会 委員長 髙尾 義則
なお、昭和基地の8J1RLの運用自体はゴールデンウィーク中も行われており、5月3日も日本時間の19:30頃から14MHz帯CWでJAに入感、さらに10MHz帯FT8での運用も確認されている。青少年ハムとの優先交信は残念ながら中止となったが、時間の許す限り運用をと願うアマチュア無線家は多い。
現在、昭和基地で観測業務などに当たっている第61次南極観測隊越冬隊の様子は、朝日新聞記者の中山由美氏がTwitterで連日発信。8J1RLのシャックや“アマチュア無線係”メンバーの表情、アンテナ整備風景などを画像で伝えてくることもある。中山氏は3アマ資格を取得し“アマチュア無線係”のメンバーに加わっているので、今後8J1RLからのオペレートにも期待されている。
61次越冬隊のアマチュア無線係集合(じゃなくても一緒に)!短波の状況が良くなったら日本と交信できるかな。昭和基地でただいまモールス通信も特訓中。#南極 pic.twitter.com/tVBGYYq2iZ
— 中山由美 (@YumiPolar) April 29, 2020
25日午後、山本貴士さんがブリザードの強風でゆがんだアマチュア無線のアンテナを直して下さいました。”南極で仕事してる!”って感じの1枚目、”こんな場所です”が2枚目。#南極 pic.twitter.com/hKxRTSs34C
— 中山由美 (@YumiPolar) April 25, 2020
●関連リンク:
・JA1RL局運用委員会から「こどもの日」特別運用に関するお知らせ(JARL Web)
・こちらは8J1RL南極昭和基地です(第53/55/58次越冬隊に参加したJG2MLI 吉川氏が管理)
・Twitter 中山由美(@YumiPolar)
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