総務省は2020年10月15日、アマチュア無線に係る制度整備を行うため、電波法関係省令および告示等の改正案を作成し、10月16日(金)から11月17日(火)までの間、意見を募集すると発表した。改正案は「アマチュア無線を社会貢献活動で活用できるようにする」「小中学生のアマチュア無線の体験機会を拡大する」という2点を骨子とし、いずれも10月5日にJARL髙尾会長とJARD三木会長が共同で同省の総合通信基盤局長へ直接提出した要望書に沿った内容だ。アマチュア無線家からは、要望書の提出からわずか10日で改正案が作成され、意見募集が始まることに驚きの声も上がっている。実現した場合、アマチュア無線は有資格者が一定条件下で災害ボランティア、地域ボランティア活動などの通信にも利用できるようになり、無資格者の小中学生は家族が開設する自宅のアマチュア局や在籍する学校のクラブ局、学校教職員のアマチュア局などから交信体験ができるようになる。
こちらの記事(2020年10月6日掲載)も参考に
<アマチュア無線の利用範囲の見直し、無資格者による体験運用の機会拡大>JARL髙尾会長とJARD三木会長が共同で、総務省へ「アマチュア無線による社会貢献活動への取り組み等に関する要望書」を提出
総務省の報道資料によると、今回の改正案は「アマチュア無線や社会貢献活動等の社会環境の変化及びアマチュア無線関係団体からの要望等を踏まえ」たものとし、「非常災害時等のボランティア活動や国や地方公共団体等の施策で共助を背景とする地域における活動について、アマチュア無線を身近なくらしの中で活用できるよう明確化し、電波の有効利用及びアマチュア無線の地位向上を図るとともに、地域社会に貢献する。また、無資格の小中学生が家庭等や学校において、有資格者の指揮・立会いの下、電波の利活用の可能性や楽しさを身近なくらしの中で体験できるようにし、ワイヤレスIoT人材育成に資する」と説明している。
(1)アマチュア無線の社会貢献活動での活用
被災地の通信確保等において、地域において重要な役割を果たしてきたアマチュア無線の運用実績等を踏まえ、非常災害時等のボランティア活動や国や地方公共団体等の施策で共助を背景とする地域における活動等について、アマチュア無線を身近なくらしの中で活用できるよう定義を明確化し、電波の有効利用及びアマチュア無線の地位向上を図るとともに、地域社会に貢献できるようにする制度改正案を作成したものです。
(2)小中学生のアマチュア無線の体験機会の拡大
電波有効利用成長戦略懇談会における提言等を踏まえ、本年4月にアマチュア無線体験局を制度化したところであるが、さらにワイヤレスIoT人材の裾野を広げていくため、無資格の小中学生が家庭等や学校において、有資格者の指揮・立会いの下、電波の利活用の可能性や楽しさを身近なくらしの中で体験できるようにする制度改正案を作成したものです。
また公表された資料では、アマチュア無線局数が減少を続けている状況がわかるグラフや、小中学生のアマチュア無線資格者数が高校生以上に比べ非常に少ない現状を紹介。さらに米国ではアマチュア無線による災害支援・ボランティア運用・マラソン大会等の地域イベントへの参加が日常的に行われ、ARRLも「Use Your License to Serve the community(あなたの免許をコミュニティへのサービスに使おう)」と推奨していることを説明している。
この改正案に対する意見(パブリックコメント)提出は無線従事者資格の有無にかかわらず個人でも可能だ。提出された意見は締め切り後に取りまとめられ、総務省の考え方とともに公表されるが、提出者の個人情報(氏名、コールサイン等)は公開されない。提出期間は令和2年10月16日から11月17日まで。提出方法など詳細は下記関連リンク参照のこと。
●関連リンク:
・電波法施行規則の一部を改正する省令案等に係る意見募集-アマチュア無線の社会貢献活動での活用、小中学生のアマチュア無線の体験機会の拡大-(総務省 報道資料)
・PDF アマチュア無線の社会貢献活動での活用及び小中学生のアマチュア無線の体験機会の拡大(案)-アマチュア無線を身近な活動へ-(総務省)
・アマチュア無線による社会貢献活動への取り組み等に関する要望書を提出(JARL Web)
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