一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)は、令和2年度(2020年4月1日~2021年3月31日)の事業報告を作成し、理事や社員など同連盟の関係者に配布した。その中で公表された2021年3月7日現在のJARL会員数と年齢層別の構成、男女比、無線従事者資格別分布、QSLカード転送枚数などを紹介する。
JARLが作成した資料「令和2年度事業報告」によると、2021年3月7日現在のJARL会員数は「正員」が56,837名(前年同期は55,901名)、「社団会員」が1,370名(同1,412名)、「家族会員」が1,256名(同1,341名)、「准員」が6,325名(同6,560名)の合計65,788名となっている。これは前年同期(2020年3月7日現在)の合計数と比較して574名の増加となっている。JARLによると3月7日現在の会員数が前年比で増加に転じたのは実に“27年ぶり”だという。
◆年齢層別会員構成
正員と家族会員の年齢層別会員構成は「5歳刻み」でグラフ化したものが掲載されている。
最も多い正員は66~70歳の10,572名。次いで61~65歳(9,786名)、71~76歳(9,380名)、56~60歳(8,900名)と続く。全体的に46歳以上から85歳に正員が集中している。40歳以下は合算してもわずか2.8%(1,616名)に過ぎず、前年同期よりも112名も減少している。一方で70歳以上は30.7%(15,529名)で前年同期よりも1,914名も増加している。
下のグラフは今回発表された正員の年齢層別構成と、1年前(2020年3月7日現在)、2年前(2019年3月7日現在)、3年前(2018年3月7日現在)、4年前(2017年3月7日現在)および5年前(2016年3月7日現在)のデータを比較してみたものだ。
5歳刻みで発表されていることの影響もある程度考えられるが、この5年間で46~50歳、51~55歳の会員数が大きく減少した一方、71~75歳と76~80歳が急増していることが読み取れる。特に昨年同期との比較では51~55歳が597名も減少したのに対し、71~75歳が1,226名も増加。27年ぶりに増加に転じたという会員数も、実は若者層ではなく高齢者が中心だったことが読み取れる。
また「お試し入会キャンペーン」が実施されている25歳以下は、2020年との比較では15歳以下、16~20歳、21~25歳のいずれも減少しているが、キャンペーン開始前の2016年3月7日現在と比較すると、対象の各年齢層で増加している(15歳以下=102%、16~20歳=151%、21~25歳=154%)ことがわかり、26~30歳の区分でも128%の増加となっていることから、一定の効果があったといえるだろう。
◆会員数増減グラフ
平成24(2012)年3月から令和3(2021)年3月までの会員数増減グラフが掲載されている。正員・社団会員・家族会員・准員の総計は、平成27(2015)年頃までは急激な右肩下がりが続いていたが、その後は減少に一定の歯止めがかかり、横ばいに近くなった。平成30(2018)年に入った付近から再び減少したものの、令和2(2020)年5月頃から増加に転じている。
◆男女比、エリア別会員数
正員、家族会員、准員を合算した「男女比」は、男子が62,336名で全体の96.8%。女子は2,082名で3.2%。今回は男子が714名増加した一方、女子は98名もの減少(女子全体の4.5%に相当)となった。減少の内訳は正員が-24名、家族会員が-55名、准員が-19名。ここ数年はなかった女性会員の大幅減少だが、家族会員からの退会が半数強を占めている。
エリア別会員数は下記の通り。コロナ禍の中、多くのエリアで会員数が増加し、前年比で会員数が減少したのは四国、東北、北海道の3地域のみとなった。
◆無線従事者資格別分布
正員と家族会員を「無線従事者資格別」で見てみると、昨年度と同様、多い順に4アマ→3アマ→2アマ→1アマ→1・2総通→3総通→1・2陸技→航空通となる(不詳者を除く)。4アマの割合は年々減少し今回は31.8%(前年度は32.1%)に。一方で3アマの割合は25.4%(前年度は24.8%)に増加、1アマの割合も19.4%(前年度は19.2%)と増加している。2アマの割合に変化はなかった。
◆QSL・SWLカード転送状況
この1年間にJARL QSLビューローが取り扱った、QSL・SWLカードの転送状況を見てみよう。年間の処理枚数は946万9,860枚で、昨年よりも0.2%(21,500枚)の減少となっている。このうち国内転送枚数は797万9,279枚で、昨年度よりも1.5%の増加だったが、外国転送枚数は99万4,894枚と昨年度よりも14万1,721枚(12.5%)の減少となった。昨年までは外国への転送も毎月コンスタントに行われてきたが、令和2年度は4~6月と8~10月、12~2月の外国転送枚数が「0」となっている。コロナ禍の影響(海外向け小包などの受付停止)と思われる。
なお、このデータは “QSLビューローが当月転送作業を行った枚数” で、会員や海外局からビューローへ到着したカードの枚数ではない。昨春のコロナ禍以降、アマチュア無線家の「おうちで無線」という風潮が高まり、昨年夏にはRadio JARL.comで「わずか半月で50万枚もの転送用QSLカードがビューローに届いた」といった報告もあったほか、コンテストの書類提出者数やアワード申請数も軒並み増えていることから、会員からビューローへ送られてきたQSLカードの枚数自体は増加していると推測できる。
◆JARL NEWS発送状況
最後にJARL NEWSの発送状況を見てみよう。発行月平均で45,115部が各会員へ発送されていることがわかる。前年比で1,334部の増加となった。
なお3月31日現在で「コールサイン@jarl.com」のE-mail転送サービスの利用者は29,156名(前年比で1,147名の増加)、毎月5日と20日に送信される「JARLメールマガジン」の配信数は30,452件(前年比で1,206件の増加)であることが公表された。
E-mail転送やメールマガジンの購読者はインターネットを日常的に利用していると推測できる一方、高齢の会員は現在も年4回郵送されてくるJARL NEWSを連盟情報を知る手段にしていると考えられる。
なお、ここで紹介したデータが掲載されているJARLの「令和2年度事業報告」は、現時点では一般会員向けには公開されていない。
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