一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)では、ゴールデンウィーク期間中に毎年恒例となっている、JARL中央局(JA1RL)と南極昭和基地のJARL局(8J1RL)をつなぐ特別運用を2017年5月6日(土)に行った。事前に募集した小学生から高校生までの9名(全員が3アマ以上の資格を所持)が東京都豊島区南大塚の同連盟事務局に集まり、「JA1RL」のコールサインでオペレート。参加した9人全員が無事QSOに成功した。その模様を紹介しよう。
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ゴールデンウィーク特別運用当日、東京都豊島区南大塚のJARL本部には夕方から9名の子どもたちと、その父兄が集合した。
まず、特別運用を前に南極地域観測隊員OBから南極の越冬生活の話を聞いたり、スタッフから交信方法のレクチャーを受けるなどして、交信にチャレンジする子どもたちの期待度が次第に膨らんでいった。
サプライズとして、大塚HTビルの屋上に設置されているクランクアップタワーとアンテナの見学会が初めて行われ、全員が地上高40mにフルアップしたタワーと、交信で使われる4エレトライバンダー八木アンテナを間近で見ることができた。
交信は21.350MHz SSBで実施。参加した子どもたち全員が3アマ以上の資格を所持していることから、アイコムのIC-7000M(50W機)をメインに、上級者用としてIC-7600(100W機)が準備されていたが、全員IC-7000Mで交信することができた。
無線機はメイン機にアイコムのIC-7000M(左上)と、サブ機として同社のIC-7600(右上)が準備され、アンテナ切替器でつながれていた
スケジュールQSOタイムの17時になり、運営スタッフがJA1RLから8J1RLへ呼びかけをスタート。ノイズの中からかすかに応答があった。信号は浮き沈みが激しい。
さっそく、あらかじめ決めた順番に従って、子どもたちが交代でマイクを握り、「8J1RL聞こえますか、こちらJA1RLです。シグナルリポートは“52”です。どうぞ」といったように交信を行っていく。
途中、バズ音などで了解度が低下する場面もあったが、30分足らずで9人全員が無事8J1RLとのQSOに成功!
今回、十数年ぶりに8J1RLに誕生したYLオペレーターも特別運用に参加。JA1RL側のオペレートの順番が女の子に代わると、8J1RL側もYLオペレーターに交代し、YL同士の交信を行うという珍しい場面も見られた。
あらかじめ決めておいた順番に従って、子どもたちが次々にオペレート! 南極との交信を終えた子どもたちは、安堵の表情と興奮冷めやらぬ高揚感でいっぱいの様子だった
日本から直線距離で約14,000kmも離れている南極との交信を終えた子どもたちは、安堵の表情と興奮冷めやらぬ高揚感でいっぱいの様子だった。昨年は14MHz帯とのクロスバンド運用を併用するも2人しかQSOに至らず「全員が成功したのは数年ぶりの快挙」ということである。
また、従来の交信イベントは狭い「展示室」で行われていたが、今年は無線機を会議室にセット。ゆったりしたスペースで運用することになり、父兄も余裕を持って交信を見守ることができたようだ。
JA1RLとのスケジュールQSO終了後、8J1RLはJA局に対し年齢制限によるQSO、そして送信出力10W以下のQRP局へ…と指定を行い、日ごろQSOのチャンスの低い局と積極的に交信を行っていった。
子どもたちがオペレートする広島県や北海道のクラブ局や小中学生の個人局ともQSOができたほか、5WのQRPでも交信に成功する局が現れた。コンディションも比較的良好で、8J1RLの信号は19時頃まで日本各地に入感していた。
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<十数年ぶり、YLオペレーター3名が誕生>南極昭和基地JARL局「8J1RL」、5月6日(土)17時から「ゴールデンウィーク特別運用」を控えた現地の様子
<5月6日(土)には「ゴールデンウィーク特別運用」も実施>南極昭和基地JARL局「8J1RL」と記念局「8J60JARE」の無線設備を現地からブログで紹介
●関連リンク:
・南極昭和基地8J1RLが「ゴールデンウィーク」期間の特別運用を実施(JARL Web)
・南極昭和基地8J1RLが5月6日、ゴールデンウイーク期間の特別運用を実施…JA1RL特別公開運用で参加者9名全員が8J1RLとの交信に成功(JARL Web)
・『ゴールデンウィーク特別運用』終了(こちらは8J1RL南極昭和基地です)
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