日本で唯一の民間短波放送局「ラジオNIKKEI」(旧社名:日本短波放送、旧愛称:ラジオたんぱ)は、2018年10月1日から最も聴かれている6MHz帯(第1放送:6.055MHz/第2放送:6.115MHz)を中心に送信を行い、一部時間帯は3MHz帯(3.925MHz/3.945MHz)で補完する体制に移行することを発表した。これに伴い同局の9MHz帯(9.595MHz/9.760MHz)は休止するが、大規模災害の発生時などには緊急放送にあたるという。同局の9MHz帯のベリカード(受信確認証)をもらうには、これから9月末までの3か月間が“最後のチャンス”かもしれない。
ラジオNIKKEIは日本全国をサービスエリアにした短波放送を行うため、千葉県長生郡と北海道根室市の2か所に送信所を設置し、第1放送を3.925/6.055/9.595MHz、第2放送を3.945/6.115/9.760MHzの合計6波で電波を同時発射(第2放送は夜間に6.115MHz、9.760MHzを停止)している。周波数と送信所、送信出力の関係は下表の通り。
同局は2018年6月29日に「放送送信体制の変更のお知らせ 10月から6MHz中心の放送に」という発表を公式Webサイトで行った。開局から64年を迎える同局が大きな変革を実行する理由について「ラジオを取り巻く環境が大きく変化する中で、放送と通信(ネット)の融合に対応し、経営の安定、効率化を図るためです。多くのリスナーがスマホやAIスピーカーからラジコでお聴きいただけるようになったことも背景にあります」と説明している。
以下、ラジオNIKKEIからの発表を抜粋で紹介しよう。
放送送信体制の変更のお知らせ 10月から6MHz中心の放送に
ラジオNIKKEIは第1、第2それぞれ3MHz、6MHz、9MHzの3つの周波数帯で同時放送してきましたが、10月1日からは最も聴かれている6MHzを中心に送信し、一部時間帯は3MHzで補う体制に移行します。9MHzは通常は休止しますが、大規模災害の発生時などには緊急放送にあたります。
ラジオを取り巻く環境が大きく変化する中で、放送と通信(ネット)の融合に対応し、経営の安定、効率化を図るためです。多くのリスナーがスマホやAIスピーカーからラジコでお聴きいただけるようになったことも背景にあります。
運用変更後の詳しい送信体制は以下の通りです。なお放送時刻に変更はありません。
「ラジオNIKKEI第1」は終日6MHzで放送し、朝と夕方以降のみ3MHzで補強します。「ラジオNIKKEI第2」は朝から6MHzで放送し、(もともと6MHzの免許のない)午後7時以降は3MHzで代替します。これ以外の周波数や時間も、大地震など大規模災害発生時などは緊急放送を発信します。
同局は発表の中で、6MHz帯を中心にする理由を「昨年1月から今年1月までの1年間、全国からモニターを募って3つの周波数の聴こえやすさを調査した結果、平均的には6MHzがどの季節もどの時間帯も最も聴こえやすいことが分かったためです。日没以降は季節によっては3MHzが聴こえやすいことも分かっています」「どの地域が、どの季節の、どの時間帯に、どの周波数が聴こえやすいかのデータが集まったため、大地震など大規模災害が発生した際には、被災地でその季節のその時間帯に3MHz、6MHz、9MHzのうち最も聴こえやすい周波数を選んで発信し、災害報道を確実に伝える体制を敷くことができるようになりました」と説明している。
現在、ラジオNIKKEIは多くのユーザーがradiko.jpなど“短波受信以外の方法”で聴いているが、船舶など受信環境によっては短波に頼らざるを得ないリスナーもいる。またアマチュア無線家やBCLファンにとっても、9MHz帯の休止や3MHz帯の送信時間短縮は寂しさを禁じ得ない。これから9月末までの3か月間、最後になるかもしれない9MHz帯の放送を受信し、同局に受信報告書を出してみてはいかがだろうか。
↓こちらの記事もチェック!!
<写真で見る>短波放送局ならではのアンテナ群、ラジオNIKKEI「長柄送信所」と「根室送信所」の全貌
https://www.hamlife.jp/2014/01/02/joz-tx-stn/
<写真で見る>さようなら!! “昭和の香り”の短波放送局--「ラジオNIKKEI」社屋移転前の内部を激写!!
https://www.hamlife.jp/2013/12/22/joz-akasaka-farewell/
●関連リンク:
・放送送信体制の変更のお知らせ 10月から6MHz中心の放送に(ラジオNIKKEI)
・ラジオNIKKEI
●いったん広告です: