2019年10月下旬にエジプトのシャルム・エル・シェイクで「2019年世界無線通信会議(WRC-19)」が開催されるのを前に、2019年1月7日から1月12日まで、韓国・ソウルにおいて「第4回アジア・太平洋電気通信共同体WRC準備会合(APT-WRC準備会合)」が行われる。総務省ではこの会合を前に「2019年世界無線通信会議(WRC-19)に向けた我が国の考え方(案)」を作成。2018年10月24日から11月22日までの約1か月にわたり、一般からの意見(パブリックコメント)募集を実施することを公表した。
【追記:なぜ5MHz帯アマチュアバンドについて言及がなかったか】2018年10月24日(木)23時30分
今回、総務省が公表した「2019年世界無線通信会議(WRC-19)に向けた我が国の考え方(案)」に、日本における5MHz帯アマチュアバンドについて言及がなかった点について、識者から以下の所見が届いたので紹介しよう。
5MHz帯についてですが、これは“国際的には”前回の「WRC-15」ですでに分配することで決着ずみとなっているため、今回の「WRC-19」の議題としては、最初から取り扱いの予定がないのです。
たしかに、JAにおける5MHz帯アマチュアバンドの開放議論は残っていますが、あくまで日本国内での問題です。
× ITU(国際電気通信連合)
○ 総務省
国内問題なのでITUとは直接関係ありません。ITUとしては「すでに5MHz帯はアマチュア無線に分配済み」というスタンスです。
ITUにおける直近の議論は以下のとおりです。
・WRC-03 サフィックスの字数増、新スプリアス規格、7MHz帯の拡大
・WRC-07 135kHz帯の分配
・WRC-12 475kHz帯の分配
・WRC-15 5MHz帯の分配
そして今回の「WRC-19」では、「ITU第1地域での50MHz帯獲得」「衛星通信にアマチュアバンドを使わせている現状がはたして正しいのか? 今後変わるのか?」「携帯電話(モバイル)関係のGHz帯アマチュアバンドへの浸食」などが注目点です。
【追記:国内の5MHz帯の開放論議は今回のパブコメの趣旨とは異なる】2018年10月25日(水)10時30分
総務省が10月24日(水)から募集を開始したパブリックコメントは、「WRC-19」に限定している。すでに規定されている各議題への対処方針を問うもので、議題についてはITU-Rにおいて事前に協議のうえ決定されており、「WRC-19」に関して議題の中に「5MHz帯のアマチュア無線への配分に関する議題」は含まれていない。
そのため、総務省もこの件についての意見募集は行っておらず、行う予定もないと推察される。
今回のパブリックコメント募集について、日本国内における5MHz帯の開放に関する趣旨と異なるものであり、「それを働きかけるような動きは、今後の総務省内でのアマチュアへの開放議論に対しても決してプラスに働かないと思うので、慎むべきではないか」とするアマチュア無線家の意見もある。
注目されるのは日本における5MHz帯アマチュアバンドの部分だが、5MHz帯のアマチュア業務への分配に関する総務省の意見は見当たらなかった。過去には、「5250~5450kHz帯におけるアマチュア業務への二次的基礎での分配」として、5MHz帯のアマチュア業務への分配には「適当でないため、Method B(分配しない)を支持する」などの表記があったが、今回は言及されていない。
唯一、アマチュア無線関連の記述として「議題1.1 第一地域における50-54MHz のアマチュア業務への分配」が確認できた。
<議題の概要>
ITU-Rにおいて第一地域におけるアマチュア業務のためのスペクトルの需要を、50-54MHzの周波数帯の中で検討し、研究結果を考慮し、アマチュア業務と移動、固定、無線標定及び放送業務との間の共用を、これらの業務の保護を確保するために研究した上で、WRC-19においてはこれらの研究結果を検討し、周波数分配を含み適切な措置を執ること。
<我が国の考え方>
決議658(WRC-15)に従ってITU-R WP5Aで実施されている研究を支持する。RRのいかなる変更も、第3地域における、50-54MHzの既存の一次業務に追加の制約を課してはならない」としている。
日本では6mバンド(50-54MHz)がアマチュア無線に開放されているが、ヨーロッパ地域を中心としたITU第1地域では4MHz幅での完全開放は難しいようだ。
WRC-19についてアマチュア無線家の意見を総務省へ伝える機会として、今回のパブリックコメント手続きに応募してみてはいかがだろうか。
●関連リンク:
・総務省 2019年世界無線通信会議(WRC-19)に向けた我が国の考え方(案)に係る意見募集
・総務省 2019年世界無線通信会議(WRC-19)に向けた我が国の考え方(案)(PDF形式)
・総務省 意見公募要領(PDF形式)
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