WSJT開発グループは、FT8などのデジタルモードに対応した通信用ソフトウェア「WSJT-X」のバージョン2.1.0を2019年7月16日(日本時間で7月15日夜)に公開した。これまでベータ版でテストが繰り返されてきたHFコンテストのための新プロトコル「FT4」が正式リリースされたメジャーなアップデートだ。FT8を含むいくつかのモードでも改良やバグ修正が行われている。
WSJT-X version 2.1.0では「FT4」の正式搭載のほか、以下の点でも改善が行われている。
・FT8の信号はGMSK GFSK(※注1)で生成(従来版と完全な互換性あり)
・ウォーターフォールとスペクトラム表示の多彩なオプション
・コンテスト用ログ機能
・リグ制御
・ユーザーインターフェース
・プログラム間通信用のUDPメッセージ
・アクセシビリティ
これ以外でも多くの改善やバグ修正が図られている。64ビットWindows用のインストールパッケージが用意された。該当PCで使用するとデコード速度が大きく向上する。(ARRLニュース7月16日 ※許可を受けて抄訳/(C)ARRL)
<hamlife.jp 補記>
・(注1)ARRL NEWSの当該記事上、およびWSJT-Xメーリングリストでは「WSJT-X version 2.1.0」のFT8はGMSKで生成されるという記載があるが、その後、開発者のK1JT ジョゼフ・テイラー博士が「One final point, and correcting a typo in my previous message. The Subject line should read GFSK, not GMSK. FT4 and FT8 use Gaussian Frequency Shift Keying (GFSK), *not* Gaussian Minimum Shift Keying (GMSK). The latter is yet another possible modulation scheme.– Joe, K1JT」と表明した。従って「WSJT-X version 2.1.0」のFT8はGFSKと記事表記を修正した(7月18日22時)。
・「WSJT-X version 2.1.0」のリリースに伴い、JA7UDE 大庭氏のサイトで「WSJT-X 2.1.0 ユーザーガイド 日本語訳」(PDF版)が公開された。JA各局にとっては大変参考になる資料だ。閲覧とダウンロードは下記関連リンク参照。
・「WSJT-X version 2.1.0」ではFT8の変調方式がFSK(8FSK)からGFSK(8GFSK)に変更された。このため既存のFT8ユーザーが本バージョンで通信を行う場合は、地方総合通信局に変調方式の変更届の提出が必要となる可能性がある。昨年12月、「WSJT-X version 2.0」のリリースでFT8のプロトコルが変更になった際は「現FT8の登録があり、新FT8を使用する場合、特例として現行の諸元表で読みかえるので手続き不要です」といった“特例”が関東総合通信局から周知された。今回の「WSJT-X version 2.1.0」については、現時点でどの総合通信局からもFT8の変調方式に関する届け出の要否や特例の情報は発表されていない(7月18日22時)。
●関連リンク:
・Major WSJT-X Upgrade Boosts FT4 into “a Finished Protocol for HF Contesting”(ARRL NEWS)
・WSJT-X(WSJT Home Page by K1JT)
・WSJT-X 2.1.0 ユーザーガイド 日本語訳 PDF(JA7UDE 大庭氏のWebサイト)
・WSJT-X by K1JT 日本語訳(JA7UDE 大庭氏のWebサイト)
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