「国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)宇宙天気予報センター」が公表した太陽黒点相対数の推定値において、2022年5月12日以降、サンスポットナンバー(SSN)が100を超えている状態が14日間も続いている。それを物語るようにハイバンドHFや50MHz帯のコンディションが好調でお祭り状態、微弱な電波でもDX通信が楽しめることで人気のFT8(デジタル文字通信)ではヨーロッパ方面が連日良好にオープンして賑わいをみせている。さらに、29MHz帯のFMなどを含めてHFハイバンドは国内も良好だが、その一方で7MHz帯などはいつもと比べて国内局同士はいまひとつの印象だ。
DX通信を楽しんでいる無線家にとって、楽しい日々が続いている。サイクル25が本格化し、2~3年後のピークに近づいていると実感できるコンディションで、サイクル19並みに楽しめるのではないかと期待が膨らむ。ほとんどの局がFT8(デジタル文字通信)にシフトしているようで、多くのJA局がヨーロッパ局をコールしている様子がモニターできる。
50MHz帯のFT8の入感状況は地域や設備によって差があるが、最近はEスポのマルチホップで朝方に北米方面(米国、カナダ、メキシコ)や、日によって南米方面も入感。昼過ぎからは9N(ネパール)やアジア方面、さらに日本時間の15時ごろから20時ごろにかけて、中東やヨーロッパ各地が比較的良好に入感している(ウクライナからのQRVもある)。18~19時ごろにはインド方面やアフリカ(ロドリゲス島の3B9FRなど)が受信できる日もある。
例年、5月末(運用者が多い土日)の50MHz帯では国内外の大オープンが見られるが、今年はどうだろうか。このあとは夏至(6月21日)付近をピークにして、7月下旬ごろまでEスポ絡みのDX通信が楽しめると期待されている。
一方、28MHz帯や24MHz帯のFT8は深夜までヨーロッパや南米方面が入感。日本時間の午前0時を過ぎても多数の局が入感していることがある。21MHz帯や18MHz帯のFT8はさらに良好で、100Hzから3000Hzまで電波を出す“隙間”が見つからないこともある(そのためか21MHz帯のFT4モードの運用者も多い)。この1週間以内の経験として、ようやく隙間ができた日本時間の午前1時台(UTCの16時台)にCQを出したところ、ヨーロッパから途切れなく呼ばれ続けたこともあった。
先日まで行われたVU4W(アンダマン諸島)や3X1A(ギニア)、現在各バンドで運用されている3D2RRR(フィジー共和国ロツマ島)など、DXペディションでバンドニューを射止めたDXerも少なくないだろう。日によっては中東方面やアフリカ方面などのオープンもあったようだ。21MHz帯のCWモードでもヨーロッパ方面がたくさん聞こえる(一部のアフリカ局も)とのリポートもある。
サンスポットナンバーが太陽側のコンディション数値ならば、数値が少なければ少ないほど通信に適しているとされる、地球側の地磁気活動を表す「A-Index」や「K-Index」は概ね静穏(A値が7以下、K値が2以下が無線通信に望ましい)だが、日によってはA値が15を超えることもあった。出力10WレベルでDX QSOを堪能するのはまだまだ難しい。
余談だが、日本時間4月29日(金・祝)の16時ごろ、10MHz帯と21MHz帯のFT8モードで、P5DX(DPR of Korea/北朝鮮人民共和国)が出現したとの情報がある。パイレーツなのか、真偽のほどはわからないが、コンディション上昇にともなって目が離せない。
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